平野レミ「お弁当づくりは苦手だった」それでも毎日続けられた楽しみは“息子とのコミュニケーション”
新生活の開始とともに、日々の弁当づくりがスタートした人も多いだろう。2カ月が経過した今、毎日つくり続けることに負担を感じる“弁当疲れ”に悩まされている人もいるのではないだろうか。「お弁当づくりは嫌だった」と語るのは、料理愛好家の平野レミさん。しかし一方で、お弁当を通して2人の息子さんとコミュニケーションをとる楽しさもあったという。そんなレミさんに、お弁当や料理がつないだ家族の絆について聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
「お弁当は苦手」それでもお弁当箱が空になって返ってくるとうれしかった
平野レミ: 正直に言って、私、お弁当って世の中で一番まずいもんだと思うのね。冷たいし、大嫌い。お弁当をつくるのも嫌だったな。でも、しょうがないから、子どもが小さいときには、真面目に2人分のお弁当つくってたわね。 家に帰ってきた息子に「おかえりなさい」って声をかけると、私にお弁当箱をバーンと放り投げてくるのね。「重いよ」って言いながら。だけど、受け取ってみると、お弁当箱は軽いの。「なんだ、軽いじゃない。食べてきたね」って中身を見ると、やっぱりきれいに無くなってて空っぽ。そうやって私をからかってるのよ(笑)。そういうちょっとしたやりとりに、お弁当づくりの楽しみを感じてたところはあったわね。 ――お弁当のおかずでどんな料理をつくることが多かったですか。 平野レミ: よくつくっていたのは生姜焼きね。私の生姜焼きは、向こうの景色が見えるぐらいに生姜を薄くしちゃう。大きいまんま、皮ごとうすーく切るのよ。それから豚肉をジーって焼いて醤油とみりんで味付ける。豚肉も生姜も両方ともペラペラで、茶色くなっちゃって、どっちが生姜だか豚肉だか、わかんないくらいになっちゃうの。そのくらいにもう薄く切るとおいしいのよね。で、お弁当に添えることが多かったのは、やっぱりプチトマト。私の料理は大抵、醤油系で茶色いからさ、お弁当の彩りで赤が足らないじゃない?それでプチトマト入れてたのね。チョンチョンと入れてるだけで、お弁当のふたを開けたときに華やかになるわけ。 ――「お弁当をつくっていてよかったな」と思う瞬間はどんなときでしたか。 平野レミ: 私の心がこもったお弁当を、今頃、息子たちが食べてるんだなと思うとちょっとうれしいし、返ってきたお弁当箱が軽いとますますうれしいし。「今日のお弁当、どうだったのかな」って感想聞かなくても、お弁当箱に残ってるのよね。コミュニケーションみたいなね。生姜焼きをつくったときは、たいてい空っぽになって返ってきたけど。懐かしいな。