予測困難な関東平野部の大雪 23日から24日にかけて東京都心で積雪のおそれも
23~24日にかけて、東京都心も含めた関東地方の広い範囲で、この冬初めて大雪注意報が発表されるような積雪のおそれがあるとして、国土交通省と気象庁は23日、大雪に対する緊急発表を行った。 大阪府内各地で風雪注意報・通天閣の光の天気予報では下半分が雪を表すレアな「ピンク色」に点灯 気象庁によると、23日夜に四国の南海上で発生して24日夜にかけて関東の南海上を通過する低気圧の影響で、関東甲信地方を中心に寒気の流れ込みが強まる。これにより、関東甲信地方で降っている雨は雪に変わり、関東地方の平地でも大雪となるおそれがある。気象庁の黒良龍太・気象リスク対策課長は「気温が少しでも変わると雨が雪に変わったり、降雪量が一気に増えたりする。予想よりさらに降雪量が多くなることもあるので、最新の気象情報に留意してほしい」と話した。 同庁によると、24日正午までの24時間の予想降雪量は多いところで▽甲信地方20センチ▽関東地方北部の山沿い30センチ▽箱根から多摩地方や秩父地方20センチ▽関東地方北部の平野部10センチ▽関東地方南部の平野部5センチ▽東京23区5センチ。 国交省の内藤正彦・防災課長は、今から3年前の2018年1月22~23日にかけての首都圏の大雪で、首都高速道路(総延長約320キロ)のうち約7割が通行止めとなり、全面通行再開まで4日間を要した例を挙げ、「東京都心で最大23センチの積雪を観測したその時ほどの雪は予想されていないものの、数センチの雪でも登り坂やランプで立ち往生してしまうことがある。冬タイヤを持っていない人も非常に多いと思うが、慌てて装着するというより、時間調整が可能な人は外出を控えて欲しい」と呼びかけた。
なぜ予測が困難? 関東平野部の大雪
関東地方の平野部で予想されている大雪について、気象庁の黒良課長は「予想が大きく上振れしたり、下振れしたりする可能性がある」と繰り返し、予測の難しさを強調した。 昨年末から今月上旬にかけて、日本海側を中心に降った大雪は、西高東低の冬型の気圧配置によって、寒気が日本海上空を渡ってくる時に、海面からもたらされる熱や水蒸気を材料に雪雲が発生したことが原因だ。こうした雪雲は、本州を縦断する山脈にさえぎられるため、太平洋側にはなかなか届かず、関東地方の平野部に大雪を降らせることはなかった。 これに対し、今回のように関東地方(特に南部)で大雪が予想される時は、関東南側の沿岸部を通る「南岸低気圧」から北に広がる雲が原因となることがほとんどだ。この南岸低気圧が通る位置が、北や南に少しずれたり、雲域の広がりの大きさによって、雪が降る範囲は変わってくる。 さらに、雨の場合と違い、雪の場合は気温の予測という条件も加わってくる。気温については、雪が降ることで空気が冷やされる効果なども加味する必要があるという。気温のわずかな違いによって雪が降るかどうか、また降った時に積雪が増えるかどうかが大きく変わってしまうわけだ。さらに湿度も大きく影響する。 黒良課長は「南岸低気圧による雪はとても予想が難しい気象現象の一つだ。気温がわずか1度でも高くなると雪ではなく雨になるし、1度低くなれば積もらない雪が一気に積もる雪に変わる」と話す。言い換えれば、わずかな条件の違いで、思いもよらないほどの大雪になる可能性も否定できないということでもある。 気象庁によると、大雪のピークは23日夜から24日午前にかけて。くれぐれも慎重な行動を心がけたい。