旧石破派所属の自民・八木哲也氏 首相の総裁選勝利に「涙が出る」も1カ月後に落選の悲哀
自民党が大敗した先の衆院選では、旧石破派(水月会)時代のメンバーで石破茂首相(党総裁)に近しい中堅も議席を守れなかった。石破派を巡っては、総裁選で首相は敗退を重ね、退会者が相次ぎ、解散を余儀なくされた経緯がある。平成27年の同派結成から9年。今年9月の総裁選勝利を見届けた1カ月後、愛知11区で落選の憂き目を見た八木哲也環境副大臣(77)を訪ねた。 【写真】「もっと下に…下に」“半ケツ”状態でビラ配りをするボランティア女性 ■「明るくする会」会長も表情暗く 10月30日夕。平成24年の初当選以来、八木氏が政治活動の拠点とした衆院第2議員会館3階の一室は期日までの撤去作業が大詰めを迎えていた。 「結果は受け入れなきゃいけないんだから…時間は戻らない。まあ、一生懸命守ってきた地域を明け渡したというのは悔しいわな」 議員グループ「日本を明るくする会」(通称・ハゲの会)の会長を務めるなど、明るい性格で知られる八木氏も、日焼けした表情に陰りがにじむ。 愛知11区はトヨタグループの拠点があり、トヨタ労組出身の旧民主系が勝利を重ねる「民主王国」。八木氏は前回の令和3年の衆院選以外、比例復活に甘んじた。ただ、与党議員として選挙区のインフラ整備など国と地元のパイプ役を担った手応えを感じている。 ■党本部と会館事務所を往復した日々 商工族として中小企業政策に力を入れ、ここ数年は環境畑で仕事をした。当選4回で環境副大臣に就任したが、出世は早い方ではない。 ただ、自民党中堅には党部会長になって初めて部会に顔を出す議員もいる中、八木氏は精力的に部会に出席するタイプだった。党本部と議員会館を往復する毎日を重ねてきた。 「1日1万歩だ。地道に勉強するしかないんだよ」 こう「ドヤ顔」で語る。 平成27年9月に結成された石破派に加わった。地元の意向も受けた選択だという。当時、首相とは特別深い関係ではなかった。首相は安倍晋三政権下でもう一つの結集軸を作ろうと、政権運営批判を辞さない。派内では「冷や飯覚悟」(若手)との声も漏れたが、菅義偉政権下になると中堅やベテランが同派を離れていった。 ■冷や飯指摘も「すべて大事な仕事」