ボクシングで減量ならぬ「増量」 1週間で6キロ増しヘビー級挑戦
■ヘビー級ランキング入りで次戦は日本王者 自慢の腹筋も割れておらず、思うように動けなかったのも無理はない。それでも相手を務めた大和は「手数とコンビネーションについていけませんでした。京太郎選手ともスパー経験はありますが、その部分は、石田さんが上に感じました」と脱帽。今月末のランキング委員会を経て、晴れてヘビー級の日本ランキング入りが認められれば、いきなり4月30日に後楽園ホールで、日本ヘビー級王者、藤本京太郎(角海老)へ挑戦するカードが組まれる予定だ。 ヘビー級テストを無事に“合格”で終えた石田は、「スピードをどれだけ上に持っていけるのか。そこで勝負したいが、インファイトにも応じるつもり。それにしても次は準備が必要。95キロまで筋肉で増量してから絞り込んでいくようにしたい。京太郎君の評価は低いらしいが、カウンターも打てるし上手さもパワーもある。僕との試合では、前に出てくるだろうし難しい部分もある」と、先を見据えた。 ■日本王者「石田とは対戦したくない」 その対戦相手となる京太郎はリングサイドで観戦していた。これまでは「石田選手とはやりたくない」とだだをコネていたが、この日は「おそらく今日の出来が最低ラインなんでしょう。手数とスピード、コンビネーションもある。ボクシング界のためには面白い試合になるんじゃないですか」と余裕のコメント。 56年ぶりに日本ヘビー級王座が復活したものの、早くも有力なランキングボクサーが底をつき、消滅危機にあった日本のヘビー級戦線だっただけに“元世界王者”石田の参戦は大きなニュースだ。 「僕も39歳。第二の人生に進む前のボクシング人生の最後に、なんかアホなことしてもおもろいやないですか。将来的にジムを開きたいし、そのために国内での知名度をもっと上げてから辞めてもええやないですか。3人の子供を抱え生活していかなあきませんから」
ヘビー級は”プランB”だった “引退マッチ”としてロンドン五輪金メダリストでプロ転向した村田諒太にターゲットを絞っていた。それを“プランA”と呼んでいた。だが、村田陣営は、東洋太平洋王者とデビュー戦を行ったことで日本人対決は卒業、2月にはマカオで試合を行うなど、目線は世界に向いていて、石田が、挑戦機会を手にする可能性は低くなった。 そこで石田が考えたのが“プランB”と呼んだヘビー級挑戦。 「半分冗談のつもりが、いつのまにか本気になってきてしもたわ」 波乱万丈のボクシング人生の締めくくりには最高の舞台なのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)