家族で選挙について話してる?―親から子どもに教える選挙のポイント
“成功体験”は暮らしの中でたくさん作れる
――たかまつさんはイギリスとの二拠点生活やヨーロッパ取材を通じて、日本との政治の考え方の違いや、日本でマネできそうなことは何だと思いますか? たかまつなな: 私がイギリスで取材した政治学者のデイビッド・カーさんは、政治の授業のゴールは、「権力がどこにあるか知ること」だとおっしゃっていたんです。権力の使われ方を知ることで、若い人の声をどこに届けると実現されるのかを考えるということですね。子どもたちに、学校の校則を変えるなどの小さなことも含め、社会を変える成功体験をたくさんさせるようにしているんです。この成功体験というのが重要だと思っています。 私も出張授業で高校生に「社会を変えるために、私はこれをします」という宣言をしてもらうようにしたんです。そうしたら、5分くらいのワークショップにもかかわらず、いっぱい意見が出てきたんですよ。「電車の本数が少ないから、その本数を増やすために、私は署名活動をしていきたいと思います」とか「自分の学校の眉毛を剃っちゃいけない校則を変えます」とか。みんな何かしら社会に不満を持っているのだけど、その変え方を知らないだけ。家の中でのルールを変える、というのもある意味、成功体験ですよね。「門限は必要か?作るならどういう基準にするか?」「遅くなったらどうする?」とか。そういうことを一緒に考え、議論し、調整していくことが大事です。 政治について話そう、となると身構えてしまうかもしれません。でも、政治は私たちの“小さな生活”に基づくもの。だから、暮らしについて「もっとこうなるといいな」を挙げていったら、自然と政治の話になっていくと思います。 ----- たかまつなな 1993年生まれ。神奈川出身。大学生時代に「お嬢様芸人」としてデビュー。2016年の18歳選挙権をきっかけに株式会社「笑下村塾」を設立し、全国の学校などで出張授業を展開。NHK職員を経て、現在は時事YouTuberとして活動。自身のYouTubeチャンネルでは政治家との対談や社会問題の解説動画などを発信している。