「政治家同士がケンカしていて日本が平和になるわけない」青木さやかがさまざまな病気を経て政治に望むこと
お笑い芸人の青木さやかさんは、30代からパニック症や肺がんなどを患ったことをきっかけに、自分の生き方を180度変えたという。「嘘をつかない」「悪口を言わない」「笑顔」などを意識して生きるようになったという青木さんは「政治家同士がケンカしていても日本が平和になるわけない」と語る。今回の参院選へ出馬を打診されたという青木さんに、選挙や政治に対して望むことについて聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
メンタルを傷つけながら働くのが当たり前だと思っていた
――青木さんに対してお笑い芸人として健康的なイメージを持っている人も多いと思いますが、ここ十数年でご病気を経験されていますよね。 青木さやか: 30代で体調を崩すようになったんです。急に心臓がバクバクして倒れそうになったり、仕事中も汗が止まらなくなって意識を失いそうになることが増えて。体中を検査しても原因がわからなくて、心療内科に行ってみたらパニック症だと診断されました。 はっきりとした原因はわからないんですけど、一度本当に倒れてしまったことがあったんですね。それからは「また倒れるんじゃないか」と不安になってしまって、ロケバスに乗ることも、生放送も、舞台に立つことも、もう難しいのかなと思った時期もありました。 それまで、メディアに出るというのはメンタルを傷つけながらやっていく仕事だと思っていたので、心の健康を気づかうことは全くありませんでした。若い頃は辛くても一つ仕事を休むと、もう仕事がなくなるかもしれないと思っていたので、「お休みをもらえますか」なんて言っちゃいけないと考えていました。 ――これまで活動してきた中で、芸能界の働き方に変化を感じることはありますか? 青木さやか: テレビを見ていると、ビジュアルをいじられるようなことは少なくなってきたなと感じます。芸人さんが“キレる”みたいなことも少なくなっていて、いわゆる“良い人”と視聴者が感じるような常識的な方がテレビに出るようになったのかもしれないと思います。視聴者の求めるものが変わってきたんでしょうか。 私がこうやって話していることも私自身の変化の一つかもしれません。これまでは病気のことや親子関係の確執などシビアな話をすると、その先、芸人として笑いが取れなくなると思っていました。でも、笑いは人の生活の隣にあるものなので、どんな状況でも、形が変わっても笑いは作れると今は思っています。 生き方として「自分軸」と「他人軸」があったとしたら、私は完全に「他人軸」で生きていました。自分の立ち位置を決められているような仕事では、その役割を演じることに全神経を集中して頑張っていましたね。例えば、番組で何かを聞かれた時に、本当は答えたくない質問だったとしても「答えない」と言う選択肢が自分の中になかったですから。でも今は勇気をもって「NO」と言うことも必要かも。私はなかなか慣れなくて難しいなと思うんですけどね。