10年間でEC業界はどのように変化したのか? 運営堂の森野さんと振り返る業界の変化+注目トピック+長期間コンテンツを続けるコツ
モール以外でインパクトがあったのは中国EC。「独身の日(W11)」のとんでもない流通総額を見て、当時「あれは何だ」と驚きました。今は「SHIEN(シーイン)」と「Temu(ティームー)」の台頭ですね。
外せないトピックで言うと、やはり新型コロナウイルスが起きたこと。コロナを機にECを実施する企業が増えるなど、取り巻く環境がガラリと変わりました。BASEさんの契約者急増したのがいい例ですよね。そのコロナも収束してオムニチャネル的に店舗とECを活用する事業者も増えています。 法律面では、アフィリエイトなどに規制がどんどん入り始めた。それまで好き放題やっていた部分もあるので、仕方がない面はあると思います。ECの黎明期は悪質な人もそんなにいなかったように思いますが、市場が広がると悪いことを考える人も増えてきてしまいますからね。
■ SNS運用、配送の品質向上――EC事業者がやることがとても増えた この10年で、ECにはどのような変化があったと感じていますか?
ECはとにかくやることが増えました。昔はショップを開設して広告をうってメルマガを送れば商品が売れる時代でしたが、今はSNSやLINE、出稿する広告先が増えるなどやることは多いけれど、売り上げが伸びにくい。ただやることが増えて、現場の負荷が大きくなってきてしまいました。 昔は配送スピードもそこまで求められていませんでしたし、クレームもそこまで多くなかった。ECで注文した商品が届くだけで「すごい」と言われる時代でした。
ECができ始めた頃・黎明期は、創業者や店長が“スーパーマン”であることが多かったですが、今はどちらかというと現場の人が“スーパーマン”であることが求められている気がします。
普通に運営していたらなかなか売れないので、何か得意なことがある人、センスが良い人がいないと難しくなってきてしまいましたね。全体を見られる“スーパーマン”ではなくて、SNSであったりコンテンツ作成であったり、部分でのスペシャリストが必要になっています。これらの能力がある人は手放したくないところです。