「桜を見る会」問題が再燃 安倍前首相の国会答弁を振り返る 坂東太郎のよく分かる時事用語
国会で安倍政権が「虚偽」答弁を繰り返す?
11月24日には衆議院調査局が財務金融委員会で、学校法人「森友学園」の国有地売却問題をめぐる国会での政府答弁のうち、事実関係が異なるものが計139回あったと明らかにしました。調査局は議員の活動を補佐する国会(立法府)の機関で、「官僚」など行政府の公務員とは立ち位置が違います。 「異なる」と判断した材料は財務省理財局の決裁文書改ざん(同省も認めている)で同省がまとめた調査報告書と会計検査院が示した中間報告です。これらと照らし合わせた結果を国会で公表しました。圧倒的に多いのが佐川宣寿理財局長(当時)の答弁だとしています。金額が事前提示されていたのに「ない」と答えたり、面会記録を保存していたにもかかわらず「廃棄された」と説明したりといった内容が含まれるのです。 これらが意図的にうそをついた「虚偽」なのか、単に「異なる」だけか、という議論はありましょう。それでもなお「国権の最高機関」で質される側の政府要人が誤った内容を139回も答弁していたのは、国会軽視と批判されて当然です。 まして「桜を見る会」の答弁者は首相自身。現時点で報道が正しいとは断定できませんし、捜査の行方も分かりません。それでもなお安倍後援会が主催した約800人の会合(実質的にはパーティー)で、ホテル側と契約したのが参加者1人1人であったという「そもそも」の説明を素朴に変だと感じる声は当初から上がっていたので、安倍氏も「報道をベースにコメントするのは差し控えたい」(加藤勝信官房長官)などという助け船に乗らず記者会見でもいいので、「読売報道はでっち上げだ」ぐらいの気炎は吐いてもらいたいところです。在職期間歴代1位の大宰相なのですから。
-------------------------------------- ■坂東太郎(ばんどう・たろう) 毎日新聞記者などを経て、日本ニュース時事能力検定協会監事、十文字学園女子大学非常勤講師を務める。著書に『マスコミの秘密』『時事問題の裏技』『ニュースの歴史学』など