アート好きが熱狂する美術館「M+」のキュレーターが厳選! 香港で行くべきスポット10
伝統的な東洋の文化とイギリス植民地時代の西洋の文化が交わり、寺院やストリートマーケットなどのレトロな街並みと高層ビルなどのモダンな街並みが融合する香港。近年、「アートバーゼル香港」や「アートセントラル」といったアートフェアを目当てに、世界中からアートコレクターやディーラーが集まり、そのアート&デザインシーンが注目が集まっている。いま、香港で絶対に行くべき建築やアートのデザインスポットを、「M+」でリードキュレーターを務め、香港のデザインシーンにも敏感な横山いくこさんに聞いた。
M+(エムプラス)/西九龍(ウエストカオルーン)
「建物もコレクションもほかでは見られない充実度を誇る『M+』は、アジアの20、21世紀をテーマにアートやデザイン&建築の展示からアートハウス系シネマなど見どころが尽きません。ショップやカフェでひと休みしながら回ったら1日ではなかなか終わらないので、ぜひゆっくりと時間に余裕をもった訪問をおすすめします」(横山さん)
2021年11月に香港の西九龍文化地区にオープンした「M+」は、20世紀以降のアジアの視覚文化を俯瞰する意欲的なキュレーションによる数々の展示を、圧倒的なスケールで見せるアジア初の美術館。イギリスの「テート・モダン」と同じ、スイスのヘルツォーク&ド・ムーロンが設計を手掛けており、17,000平米にもおよぶ展示総面積を持つ館内では、常に多彩なテーマや切り口による展示が行われている。
横山さんが率いる建築デザイン部門によるイーストギャラリーでの展示では、炊飯器やウォークマンなどの日本の商業デザイン、建築ムーブメントとして世界に名を馳せたメタボリズムの代表作、建築家菊竹清訓の手掛けた1970年の大阪万博のエキスポタワーの建築パーツなど、日本が世界のデザインと文化にもたらした影響の大きさと重要性を改めて知るという貴重な体験ができるとともに、伝説のデザイナー倉俣史朗が設計したすし店をそのまま館内に移築し再建されているのも目撃できるなど、「M+」の大胆不敵な姿勢はとにかく刺激的。 <写真>1988年、新橋にオープンしたすし店「きよ友」。「M+」2014年より収蔵し、開館とともにお披露目した。