〈再発見!〉バラ専門誌編集長に"和"の植物の魅力を聞く【私の植物偏愛記・12月号こぼれ話】
おなじみの講師の方々に、愛する植物を思う存分語っていただく連載「私の植物偏愛記」。『趣味の園芸』2024年12月号では、バラ専門誌の編集長の玉置一裕さんに「小さな変化をニヤニヤしながら眺めるのが至福の時間だ」というマツバランについて伺いました。バラのイメージが強いだけに、マツバランという和風なセレクトに驚かれた方も多いのではないでしょうか。 みんなのマツバランの写真 マツバランに限らず、玉置さんは日本で古くから親しまれてきたさまざまな植物を愛好しています。ウェブだけで読めるこの「こぼれ話」では、玉置さんの愛する"和"の植物について教えていただきました!
江戸から続く趣味の世界 伝統園芸植物
日本で昔から親しまれてきた植物には、魅力的なものがたくさんあります。なかには、江戸後期に大流行したマツバランのように、熱狂的ともいえる人気を誇っていたものも。 しかし、今となっては栽培する人も減ってしまい、魅力が十分に知られていない植物が多いと感じています。この記事が、そういった植物の魅力を改めて認識するひとつのきっかけになれば嬉しいです。
写真は3種類、5品種の植物です。 ・手前の3鉢:富貴蘭(フウキラン)、左から'金孔雀(きんくじゃく)'、'金幽晃(きんゆうこう)'、'立大鵬(たちたいほう)' ・奥左側:万両(マンリョウ)'恵比寿(えびす)' ・奥右側:琴糸南天(キンシナンテン)'織姫(おりひめ)' いずれも江戸時代にルーツをもつ、いわゆる「伝統園芸植物」になります。それぞれの植物をご紹介しましょう。
富貴蘭(フウキラン)
「富貴蘭」は「フウラン(風蘭)」の園芸品種としての呼称。着生蘭です。ことさら立派な姿にしようと思わければ管理がとてもラク。水苔だけで、写真のように鉢より高めに植え、水はほどほどに与えればOKです。 まず、大小やつき方など、葉の芸を楽しめます。7月に梅雨の湿った空気の中に甘い香りを漂わせる花はもとより、青色や白色、ルビー色・紅色の新根の色も観賞対象です。 '金孔雀(きんくじゃく)'は豆葉で、葉の表面の緑にうっすらと金色がのり優美。'金幽晃(きんゆうこう)'は日に当てると葉が黄色く輝いて、白根とのバランスがさわやか。'立大鵬(たちたいほう)'は、豆葉が立ち上がり、白い花が上を向いて咲くかわいい姿です。