来年、65歳で定年退職を迎えるのですが、生活費が心配です。年金の繰下げ受給はしたくないのですが、ほかによい方法はないでしょうか?
年金を繰り下げずに老後の生活費を捻出する方法
老齢厚生年金を繰り下げると、配偶者に対する加給年金が支給されない可能性や、年金額が増えることで税や社会保険の負担も増える可能性があるため、老後の資金を確保する手段としては、繰下げ受給を選択したくない方もいます。そのような方が、老後の生活費に対する心配を軽減する手段としては、以下の方法が考えられます。 1.生活費を切り詰める 65歳から受給できる老齢年金と保有する金融資産の範囲内で生活できるように、生活費を切り詰めることが考えられます。この場合は、一度節約できればその効果が継続する光熱水費や通信費などの、固定費を見直すことをお勧めします。 2.給与収入などの収入を得る 定年後も働くことを躊躇する方もいますが、「年金だけでは不足する生活費の分だけ、収入を得る」と考えると、無理なく働くことができるでしょう。また、収入が増えると医療保険・介護保険などの自己負担額や保険料、税金に影響する場合がありますので、働き過ぎには注意しましょう。 この際、自分の得意分野を生かすことを考えるとともに、シルバー人材センター(※5)に登録することも、一考に値するでしょう。 3.金融資産を活用する 保有する預貯金の一部を投資信託などで運用し、金融資産を少しでも増やすことを考えましょう。この際、退職金などまとまった資金を一度に投じて、多額の株式や投資信託を購入することは避けましょう。NISA(※6)のつみたて投資枠を利用した定期積立投信で、毎月一定の金額で一定の銘柄を、時間を掛けて購入するとよいでしょう。 また、変動金利型10年満期の個人向け国債を購入することも、老後資金を確保する手段の一つと考えられます。個人向け国債は元本割れの心配がなく、1万円から購入でき、購入後1年を経過すれば中途換金も可能です(※7)。 この際、金融資産の保有割合(ポートフォリオ)に配慮し、毎月の生活費や電気代などの支払いに必要な分は現金や普通預金、入院などに備える分は定期預金や国債、そして資産を増やす分は投資信託などと、使用目的に応じてバランスよく保有するようにしましょう。