来年、65歳で定年退職を迎えるのですが、生活費が心配です。年金の繰下げ受給はしたくないのですが、ほかによい方法はないでしょうか?
老後の資金を確保する手段として「老齢年金の繰下げ受給」がありますが、「老齢年金の繰下げ受給」にはメリットとデメリットがあります。 今回は、「老齢年金の繰下げ受給」について解説するとともに、老後の生活費の心配を軽減する方法について考えます。 ▼65歳から70歳まで「月8万円」をアルバイトで稼ぐと、年金はどれだけ増える?
老齢年金の繰下げ受給
65歳から受給することができる老齢年金は、66歳以降75歳までの間で繰り下げて、増額した年金を受給することができます(※1)。 1.繰下げの方法 老齢年金には、老齢基礎年金と老齢厚生年金がありますが、年金を繰り下げる方法には以下の3つの方法があります。 (1)老齢基礎年金のみ繰り下げる (2)老齢厚生年金のみ繰り下げる (3)老齢基礎年金と老齢厚生年金を繰り下げる 2.繰下げ手続き 65歳に到達する3ヶ月前頃に送付される封書の「年金請求書(事前送付用)」を提出しなければ、特別な手続きをすることなく年金を繰り下げることができます(※2)。 なお、65歳以前に「特別支給の老齢厚生年金」を受給している方には、はがきの「年金請求書」が届きますので、両方の年金を繰り下げる場合は、はがきを返送しないだけでよいことになります。 一方の年金のみを繰り下げたいと希望する場合は、「老齢基礎年金のみ繰下げ希望」または「老齢厚生年金のみ繰下げ希望」のどちらかに丸を付けてハガキを返送します(※3)。 66歳以降に繰り下げた年金を受給するには、繰下げ受給を希望する時期に、近くの年金事務所または街角の年金相談センターへ、「繰下げ請求書」を提出します(※4)。 3.繰下げ期間と年金の増加率 老齢年金を繰り下げると、繰り下げた月数に応じて老齢基礎年金の額(振替加算額を除く)および老齢厚生年金の額(加給年金額を除く)に以下の増額率(最大84%)を乗じた年金額を生涯受給することができます(※1)。 増額率=0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数 4.繰下げ受給の注意点 繰下げ受給する際には、以下の点に注意する必要があります。 (1)繰下げ受給により年金を受け取っていない期間は、加給年金や振替加算を受け取ることができません。 (2)繰り下げた年金を受給すると、年金額が増えるために医療保険・介護保険などの自己負担額や保険料、税金に影響する場合があります。