元J助っ人が感銘、日本ファンは「一味違う」 来日13年半で生まれた“松本愛”【インタビュー】
「応援されているんだな」松本で感銘を受けた一体感
松本では日本でのキャリア最長の5年半を過ごした。そこに続いたのが栃木での3年半。それぞれで地方クラブ特有の良さがあったなかで、松本ならではとも言えるファンとの密接な関係性に温かさを感じた。町中へ出れば、老若男女から激励の声がかかる。“選手だから”と、距離を置かれることはなく「応援されているんだな」と勇気が湧いてきた。 「栃木でももちろん、素晴らしいサポーターがたくさんいました。ただ町全体の規模感で見た時に、松本はもっとコンパクトなのでサポーターをもっと身近に感じることができるんですよね。例えば買い物してる時にサポーターが気軽に声をかけてくれたり、温かさを感じる場面が多い町なんですよ。チームそれぞれのサポーターに独自のカラーがあると思うんですが、松本山雅のサポーターはそこが魅力だと思います」 2019年に一度、松本を離れたが、一昨年に復帰。「再びあの地へ戻れる」。喜びを噛みしめた当時、鮮明に覚えているのが家族の反応だった。 「家族も松本を気に入っていて、子どもたちは以前通っていた学校が大好きだったんですよ。子供たちがすごく喜んでいる姿を見て、戻ってきて良かったなって、さらに喜びが増しましたよね」 異国の地で味わった、かけがえのない経験の数々。その恩は忘れない。日本のために歩むセカンドキャリアはまだ始まったばかり。「日本サッカーの発展に少しでも貢献出来たらもう最高に幸せです」。屈託のない笑顔を見せる元J助っ人は、恩返しのために自らの“愛”を注ぎ続ける。 [プロフィール] パウリーニョ(パウロ・ロベルト・ゴンサガ)/1989年1月26日生まれ、ブラジル出身。メトロポリターノ―グレミオ―バスコ・ダ・ガマ(いずれもブラジル)―栃木SC―川崎フロンターレ―ジェフユナイテッド千葉―湘南ベルマーレ―松本山雅FC―ファジアーノ岡山―松本山雅FC。現役時代はボランチを主戦場に、闘争心あふれるプレースタイルで活躍。2023シーズン限りで引退を表明し、松本の強化担当スタッフに就任した。
FOOTBALL ZONE編集部・橋本 啓 / Akira Hashimoto