生活習慣病の改善に必要な「運動療法」と“我流”では何が違うの?【医師解説】
生活習慣病は文字通り、日常的な生活習慣が原因となって発症する疾患のことをいいます。そのため症状の改善には生活習慣を改めることが必要であり、なかでも運動療法は非常に重要です。 【イラスト解説】「のどが渇く」「尿が増える」のは『糖尿病』のサインなのか? 自分で行う運動と、医師が処方する運動療法では一体何が違うのでしょうか? 地域・総合クリニック十日市場の布目先生に話を聞きました。
生活習慣病にはなぜ、運動療法が必要なのか?
編集部: 生活習慣病にはなぜ、運動療法が必要なのですか? 布目先生: 生活習慣病には高血圧や糖尿病などさまざまなものがありますが、いずれも発症には運動不足が大きく関わっています。運動不足は肥満につながるほか、体内でインスリンの効きを悪くし、糖尿病の原因になります。そのため治療には運動を取り入れることが必要なのです。 編集部: そもそも運動療法とはなんですか? 布目先生: 「障害や疾患の治療や予防のために運動を活用すること」と定義されています。たとえば骨折や腰痛など整形外科の領域における疾患でも運動療法は有効ですし、生活習慣病や心疾患、呼吸器疾患などさまざまな疾患に対しても広く用いられています。 編集部: 生活習慣病の人が運動療法を行うことで、どのような効果が期待できるのですか? 布目先生: それ以上疾患が進行するのを予防したり、症状を改善したりするほか、新たな疾患の発症を予防したり、再発を防いだりする効果も期待できます。 もちろん無理なく、適切な範囲で運動を行うことが大切ですが、研究により、生活習慣病は身体活動の量が多ければ多いほど、罹患発症リスクが低くなることがわかっています。 編集部: なぜ、運動療法が生活習慣病の予防や改善につながるのですか? 布目先生: 運動をするなど、身体活動の量が増えると脂肪細胞が減少し、インスリンの効きが良くなります。その結果、細胞への糖の取り込みがよくなり、血糖値が低下します。 また、運動をすることは、肥満解消にもつながります。肥満は生活習慣病の元になるので、減量することは症状の改善や予防に効果的です。 編集部: さまざまな効果があるのですね。 布目先生: はい。それから内臓の働きが活発になることで、糖や脂質の代謝が促されたり、血流がスムーズになったり、血管壁の伸縮性が高まったりします。それにより、血糖値や血圧、脂質の状態がよくなることが期待できます。