ドラフト競合必至の金丸夢斗の将来像は? 過去20年で最高の完成度 目指すは江夏、工藤レベルか
二人に共通している点でもう一つ挙げられるのが奪三振が多く、四死球が少ないという点だ。杉内は現役時代に通算2091回1/3を投げて2156個の三振を奪いながら、与四球はわずか614にとどまっている。金丸も4年春のリーグ戦までの数字を見ると、224回2/3を投げて294奪三振、与四球30という記録が残っている。左の本格派投手というと三振は奪うものの、コントロールは荒れているというタイプも多いが、そうではないことがよく分かるだろう。ただ杉内と比べてもストレートの勢いは金丸の方が上回っている印象で、プロでも杉内を超える成績を残す可能性も十分にありそうだ。 他にも多くの名投手がいるが、少なくとも過去20年の間にプロ入りしたサウスポーで金丸ほどの完成度を備えた投手はいない。そうなるとさらに過去までさかのぼる必要が出てくるが、最終的に目指すべき対象としては工藤公康(元西武など)、さらには江夏豊(元阪神など)といった往年の大投手になるのではないだろうか。まだプロ入りもしていない選手に対して期待が大きすぎるという声も聞こえてきそうだが、実際に金丸の投球を見れば、それも理解してもらえるはずだ。もっと言えば、金丸を獲得できた球団は来年のチーム成績が上がる可能性も極めて高く、それくらいのインパクトのある投手なのである。 果たして金丸に何球団が競合するのか、そしてどの球団が戦力アップを果たすのか、今年のドラフト会議の最大の注目ポイントと言えるだろう。 文●西尾典文 【著者プロフィール】 1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。