福島につながっておいたほうがいい――CANDLE JUNEが10年の支援活動で見た多重災害の現実
2017年のJUNEのブログには、「当事者の福島県の皆さんすら声を上げることが難しくなってきてしまいました」という記述がある。その「声」の正体をJUNEは振り返る。 「人間やっぱり生々しいもんで、補償金の格差に、みんな納得いってないんですよね。同じ村民でも、もらう補償金が違うとか。究極は放射線量の数値で、『高いから避難しろ』って言われた場所の人は、毎月一人頭いくらってもらうじゃないですか。でも、『その数値だったら、うちのほうが高かったんだけど』という地域もある。数値が高いにもかかわらず、補償を受けてない人たちが多いので、そこで最初の軋轢(あつれき)が生まれてしまった。避難して仮設住宅で暮らしても、『おまえたち、いつか帰るんだろう? 補償金もらってるから大丈夫なんだろ?』って言われて、仕事に就けない。それでパチンコに行っていると『補償金で遊んでる』と言われたり。これらがだいぶ福島を狂わせた原因じゃないかなと思います」 JUNEはこの負の連鎖を「決定的になってしまっている」と語るが、それも10年を経て変化が起きているという。 「10年過ぎてからは、福島各地から集まる仲間たち同士も『いや、うち実はこうだったんだよ』とかっていう話をするようになって。打ち解けたからっていう面もあるとは思うんですけど、同時に言語化して共有することで忘れないようにしよう、みたいな雰囲気もあるんじゃないかな」
福島の事情を知ったほうが、それぞれの生活のためになる
JUNEのこうした福島県への取り組みは、実はCandle Odysseyでのテロや戦争に対する姿勢とも通底しているという。 「世界のお金持ちたちのピラミッドの上のほうにいる一部の人たちも、基地の近くに住みたくないだろうし、紛争地域に住みたくないと思うんです。そう考えると、福島のことも、戦争やテロのことも、自分がおこなっていることって、全部つながってるし、つなげていきたいんです。福島につながっておいたほうがいいんじゃないかなって、多くの人に伝えたいですね。世界でも例がない、大きな多重災害だし、それを知っておかないと。他の地域でも原発事故が起きる可能性もあるし。まずは福島の事情を知ったほうが、それぞれの生活のためにもなる。LOVE FOR NIPPONは互助会システムなので、なんとなくつながっておいたら、もし自分に何かあったときに、仲間たちからいろんなサービスがやってくる。すごくちっちゃいんですけど、そういう関わり合い方をしておいたほうがいいんじゃないかなって」