菅首相1か月ぶりの会見 宣言再延長、接待問題をどう語ったか
菅義偉(よしひで)首相は5日夜、新型コロナウイルス対策としての緊急事態宣言を東京など1都3県について2週間延長すると発表した。1か月ぶりとなった会見では、宣言を再延長する理由や効果のほか、この間に発覚した総務省接待問題に関する質問が出たが、国民への説明は十分だったのか。 【動画】2週間「状況見極め必要な期間」 1都3県「宣言」延長で菅首相会見
「もう一段」対策を徹底する決断
「緊張感が緩んできているという意見がある一方で、『もう限界だ』という声があることも承知している。さまざまな声にも思いを巡らしながら、もう一段対策を徹底する決断をした」 菅首相は、再延長する2週間で、これまで行ってきた飲食店などの営業時間短縮や不要不急の外出自粛の要請、テレワークの推進を徹底するほか、新たな取り組みとしては、クラスター(感染者集団)が相次ぐ高齢者施設での感染の早期発見とクラスター予防を目的に3月末までに約3万の施設で集中的な検査を行うこと、市中感染を探知するために大都市の繁華街を中心に無症状者のモニタリング検査を行うことを明らかにした。 新規感染者数の下げ止まり傾向がみられる中で「2週間の延長で十分か」との問いには、「(指標を)慎重に見極める必要がある。このところ人出も多くなってきている。リバウンド(感染の再拡大)を防ぐために、まずは2週間延長した」「次に感染者が多くなっても、しっかり病床を確保できる体制をこの2週間で作っていきたい」と明確な回答はなかった。
総務省接待問題で広報官が交代
菅首相が官邸の会見場で行う記者会見は、緊急事態宣言を10都府県で延長することを発表した2月2日以来だった。 この間、自身の長男に絡む総務省接待問題が噴出。長男が勤務する放送関連会社「東北新社」から総務省幹部らが接待を受けていたことが発覚し、同省は11人の職員を処分した。接待を受けていた職員の中には、内閣広報官の山田真貴子氏も含まれていた。 大阪や愛知など6府県での先行解除が決まった2月26日、菅首相は会見ではなく、官邸ロビーでのぶら下がり取材対応で済ませたことに“山田隠し”だと批判が出た。週が明けた3月1日、山田氏は内閣広報官を辞職。後任に小野日子(ひかりこ)外務副報道官が就いた。 この日は小野氏が初めて首相会見の進行役を務めた。会見は70分超に及んだが、菅首相が質問に対してかわすケースも見られた。