寝袋の中で「今夜いよいよ死ぬかも」 ますます激しくなるガザの空爆に日本人医師の覚悟と葛藤
この時期は空爆がどんどん近くなり、頻度も多くなっていた。家や窓ガラスが揺れたり「今夜いよいよ死ぬかもな」と何度か寝袋の中で思った。こんな状況でじたばたしても無駄。 ガザに入ると決めた時点で死ぬ覚悟はできていたが、中途半端に大きな負傷をして生き残りたくなかった。重傷を負いながら一生懸命生きようとしている患者さんに対して不謹慎だと思いながら。じゃあ、自分は一体何をやっているんだろう、と葛藤した。 米アトランタにいる夫に、届くかどうかわからない、最後のものとなるかもしれないメールをとりあえず送信した。 ※AERAオンライン限定記事 中嶋優子(なかじま・ゆうこ) 東京都出身。東京都立国際高校、札幌医科大学卒業。日本と米国の医師免許を持つ。日本で麻酔科医として勤務の後2010年に渡米、救急医療の研修を開始。2014年に米国救急専門医取得、2017年には日本人として初めて米国プレホスピタル・災害医療専門医を取得。国境なき医師団には2009年に登録。2010年に初めての海外派遣でナイジェリアで活動し、その後もパキスタン、シリア、南スーダン、イエメン、シリア、イラクで活動。2023年11~12月にかけてパレスチナ自治区ガザ地区で活動した。2017年より米アトランタ・エモリー大学救急部の助教授を務め、24年9月からは准教授職に。