NBA電撃復帰時に着用した「AIR JORDAN 11(エアジョーダン11)」の知られざる新事実とは
実はティンカー・ハットフィールドは1991~1992年ごろからマイケル・ジョーダンからシューズにどんな素材を使いたいか要望を聞いていたそう。そのリクエストの内容を鎌本さんはこう続ける。 「『エアジョーダン11』が誕生する1995年以前からマイケル・ジョーダンはティンカー・ハットフィールドに“光沢感のある素材を使いたい”と話していたそうです。またマイケル・ジョーダンはスポーツカーが好きだったので、そういったイメージも『エアジョーダン11』のデザインにはインスパイアされているようですね。 そこからティンカー・ハットフィールドはシューズに光沢のあるエナメル素材を使うよう試みたのですが、エナメルはかなり繊細な素材で激しい動きで割れてしまうため、耐久性の問題で採用を断念。そこでティンカー・ハットフィールドが見つけてきたのが、光沢感があり耐久性もあるパテントレザーだったそうです」
闘争心に火がついたティンカー・ハットフィールドは『エア ジョーダン11』をこれまででもっとも革新的なバスケットボールシューズにしたいと考えたという。それが後に伝説のシューズとなる「エアジョーダン11」の誕生前夜というわけだ。
デザインだけではなく機能性も格段に進化
デザインばかりに注目がいきがちだが、機能面でも大きく進化したところがある。それがミッドソールに搭載されたフルレングスのカーボンファイバー製プレートだ。 一部のバスケットボールシューズは柔らかすぎて、鍛え上げられた大きな肉体を持つNBAプレイヤーでは、その体重の乗ったジャンプの衝撃を支えきれないと気づいた。またマイケル・ジョーダンはジャンプして着地し、その後の一歩踏み出すときに土踏まずの部分がねじれてしまうことに悩んでしたそう。それを補うのがカーボンファイバープレートだったのだ。
「ティンカー・ハットフィールドのこの発見は、自身が高校時代にサッカーをやっていた経験からのものだったそうです。サッカースパイクもパフォーマンスシューズになりはじめていることに気づいたんですね。『エアジョーダン11』のやや硬めの履き心地は、このカーボンファイバープレートが影響しているといわれています。 もちろん、パテントレザーとバリスティックナイロンメッシュのアッパーも、これまでのシリーズとは一線を画していますが、大きく進化したのはデザインだけじゃなかったのです」