第二子を望んでの不妊治療の日々。卵が採れなかったり、胚移植日と長女の保育園行事が重なったり
忘れられない、台風の日の胚移植
――まんがのお仕事と不妊治療、どのように両立されていましたか? 藤本 長女が生まれて1年後に仕事の環境をデジタルにしたので、クリニックにタブレットを持ち込んだりして作業していました。私はそれでなんとか対応していたのですが、クリニックでは通勤帰りに上の子を連れてギリギリで駆け込む様子の人もいて、本当に大変だなと感じました。 ――体外受精のスケジュールが決まっているうえに、お仕事に上の子のお世話、園のイベントなどもあって…。2人目の不妊治療は大変だといいますが、どうでしたか。 藤本 排卵の調整って、ギリギリのところで微調整をしていくので「この期間しかできません」ということが多々あって、なかなか融通がきかないんです。「この日に来ることができなければ今の周期はおしまいで、次の周期に持ち越し」と考えると、日々の優先順位はどうしても、採卵・移植を第一にせざるをえませんでした。 一番大変だったのは、大事な移植の日が長女の保育園の運動会に当たったときです。「移植は午後からだから、なんとか間に合いそう!」と思っていたのですが、台風の影響で運動会が延期に。それはよかったのですが、クリニックはどんなときも通常どおりなので、移植日に変更はありません。台風で電車が止まる可能性を考えて、長女を初めて長時間夫に任せて、クリニック近くのホテルに前泊しました。移植を終えたあとで電車が止まって帰れなくなったので、「これで妊娠しなかったら本当に心が折れるだろうな…」と思いながらホテルにもう1泊させてもらいました。 翌日の朝6時、保育園から「今日、運動会やれます!」と連絡があって、夫にあわてて電話しました。運動会は当然このまま再延期だと思っていた私たちは何も準備していなかったので、夫は着の身着のまま長女を運動会に連れていき、なんとか長女の写真だけは撮ったという感じで…(笑)。私は急いで帰宅しようとしましたが、電車が動かず運動会には間に合いませんでした。ただ、そのかいあってか、このときの移植で奇跡的に2人目を妊娠できました。