なぜ苦戦?メイウェザーがYouTuberポールとの異例エキシビションでKO決着どころかダウンも奪えず会場は大ブーイング
一方のポールは喜びを隠さなかった。 「何かが不可能だなんてオレに言うな。見てくれ、オレもできただろう。世界最高のボクサーを相手に、ここまでやったんだ。不可能なんかない。やればできるんだ。オッズが不利だなんて関係ない。ただメイウェザーと戦えて光栄だった。いい試合ができた。人生で最高の瞬間だった」 一気にまくしたてたポールはメイウェザーへのリスペクトも忘れていなかった。 「彼が何をしてくるか読めなかった。彼は凄い人だ。このスポーツを偉大にした功労者の一人。そんな彼とリングに立てて最高の夜になった。彼はそんなに歳ではなかったぜ」 前日計量でポールはライトヘビー級からクルーザー級の間となる85.9キロで、メイウェザーはスーパーウェルター級に相当する70.3キロ。3階級以上の体重差となっただけでなく、身長差も188センチのポールに対してメイウェザーは173センチ。約16キロの体重差は、試合当日には、さらに広がっていたと考えられており、ポールは、終始、そのフィジカルの有利さを利用してメイウェザーを封じこめた。 1ラウンドは緊張感があった。フェイントをかけながらポールがプレッシャーをかけて1分半過ぎに右ストレートを振り下ろすが、メイウェザーは、それを超絶のディフェンス技術で見切って空振りさせた。44歳とは思えぬ反射神経でポールに触れさせない。終了間際には、ポールがコーナーに追いつめガードを固めるメイウェザーに力まかせのパンチのラッシュをかけて会場はヒートアップした。 2ラウンドに入ると、ポールの動きを把握したかのようにメイウェザーが両ガードを高く上げて固めて逆にプレスをかけはじめる。ポールは必死に左ジャブを繰り出すが当たらない。3ラウンドからはYouTuberの体格差を生かした密着戦法が徐々に目立ち始める。 メイウェザーは何度も力でロープに押し込まれた。 世界戦を26度戦った技術とスピードで左フックから右のカウンターをヒットさせるが単発では決定打にならない。2018年大晦日の那須川天心とのエキシビションマッチでは、逆に10キロ近い体重差があり、左フックで天心を吹っ飛ばしたが、クルーザー級のポールにはダメージを与えることができなかった。 4ラウンドに入ると、早くもポールのスタミナが切れはじめ、メイウェザーは、左のダブルから右のカウンター、左のフックを当てるが、びくともしない。危なくなると抱きついてメイウェザーに連打は許さないのだ。そして“相撲”だけではない。このラウンド、不用意だった偉大なる王者に右フックを浴びせたのである。 5ラウンドにはメイウェザーの左ボディが炸裂し右アッパーがポールの顎を捉えた。だが、またくんずほぐれつのクリンチ戦に持ち込まれた。場内がざわつきブーイングが漏れ始めた。6ラウンドに入ると、メイウェザーは、試合中に何やら声をだしポールをなじった。