〈パリ五輪〉ブレイキン日本代表Shigekix がオリンピックで「金メダルを獲る」よりも大切にしている、もうひとつの目標
歴史に残る大御所B-Boyとのバトル
また、ここ近年でブレイキンの歴史に残る名バトルだったのが、「Red Bull BC One World Final 2021」のベスト8で当たったFlea Rock(フリーロック)との一戦だ。 新進気鋭の若手No.1・B-BoyであるShigekixさんは、持ち前のフィジカルを活かし、高難度な技やつなぎを次々と展開、完成度の高いムーブを披露した。 しかし、30年近いダンス歴を誇る大御所Flea Rock(当時39歳)は、アメリカを代表するレジェンドB-Boy。ブレイキンバトルシーンから遠ざかっていた大ベテランによるまさかのバトル出場だった。 バトルが始まるとコミカルな動きに加えて、ベテランの経験に裏打ちされたストーリー性と渋みあるムーブは、会場の雰囲気を一気に味方につけ、軍配はFlea Rockに上がったのだ。 技の引き出しや技量、難易度に関しては圧倒的にShigekixが上回っていた。しかし、なぜFlea Rockが勝ったのか。 ネットでは世界中で賛否両論が起こり、「ブレイキンはスポーツかカルチャーか」といった多くの反響を呼んだバトルだったが、「対戦相手やジャッジ(結果)に対しては、まったくネガティブな思いはなかった」とShigekixは振り返る。 「Red Bull BC Oneの2連覇を狙っていたのに、大会に向けて準備してきたベストのプレイができず、Flea Rockに敗れたのはとても悔しかったですね。勝敗の行方やジャッジに関してはいろんな意見もありましたが、周りに振り回されているようでは、プレイヤーとしてはよくないと思っています。 どんな場面であっても『自分の実力を出せたのか』『バトルでのパフォーマンスはよかったのか』を振り返り、気を緩ませることのないように肝に命じているんです。勝っても負けても、よかった部分と改善すべき点は見出せるので、自分のフィルターを通してバトルの結果を振り返ることを大切にしています」 Flea Rockとの一戦は、優勝が決まるわけでもないベスト8の試合だ。それにもかかわらず、ブレイキンの好きな人たちがそのバトルに対して熱く語り、ベストマッチにも選ばれたことに対して、とても光栄な気持ちを抱いているという。 「フィジカルや技術、難易度の高さだけでは勝敗が決まらないブレイキンの面白さや奥深さに気づき、ブレイキンに興味を持つ人が増えたと思えば、Flea Rockとの一戦は、非常に価値のあるものだったなと考えています」
【関連記事】
- 〈パリ五輪〉7歳での“代役”ダンスバトルデビューから世界トップレベルに。ブレイキン日本代表・Shigekix「好きなブレイキンだけ頑張って、学校の勉強をおろそかにするわけにはいかなかった」
- 〈パリ五輪〉バスケ男子アメリカ代表はNBAのスターだらけ。その合宿先で見た金メダルの可能性とは…松井啓十郎が直撃取材「足元をすくわれる可能性があるのではないか」
- 《宮田笙子パリ五輪辞退問題》またもや発覚した五輪代表選手の不祥事…飲酒・喫煙・大麻・闇カジノ、前回大会前には不倫での処分も
- 「WBCの野球はベストメンバーなのに」パリ五輪サッカー男子日本代表に向けられる厳しい意見! 最強メンバー揃わず戦いへ…「OA枠を使わない理由」と「メダル獲得の確率」
- パリ五輪が迫るフランス政府が絶対に見せたくない“不都合な真実”…スラム化した郊外団地問題で育った監督が晒す「移民政策の成れの果て」