〈パリ五輪〉ブレイキン日本代表Shigekix がオリンピックで「金メダルを獲る」よりも大切にしている、もうひとつの目標
開会式旗手のブレイキン日本代表#2
国内外のブレイキン大会で数多くの優勝経験を持つB-BoyのShigekix(本名:半井重幸)さん。パリ五輪では開会式の旗手という大役を担い、金メダル候補として期待される。これまで数々の栄光と挫折を経験してきたが、7歳でダンスを始めてから、15年間ブレイキンを続けてきたなかで、転機になった“出来事”を振り返る。(前後編の後編) 【画像】小学生時代から世界大会で活躍していたShigekix
ユースオリンピック前後で大きく変わった考え方や意識
最初に訪れた転機は10歳。 横浜で行われたイベント「RAW SKOOL JAM」のU-15 1on1 B-Boyバトルで優勝し、その優勝特典としてラスベガスを拠点とするダンスクルー「BATTLE BORN」のアニバーサリーイベントに招待されたときだった。 「ラスベガスに行って、イベントに参加したのはもちろん、主催者のはからいで2on2のエキシビションマッチを組んでもらったんです。僕は姉とタッグを組んで参加したのですが、同世代で勢いのあるアメリカのキッズB-Boyとバトルができたのは、非常に貴重な経験をさせてもらえたと思っています」 その次は、12歳でフランスの世界大会「Chelles Battle pro」キッズ部門で優勝を成し遂げたときだという。 U15枠で出場したバトルの決勝で当たったのは、スキルフルな踊りを得意とするハワイの天才キッズB-Boy・Lil'Demon(リル・デーモン)。接戦を見事に制したShigekixは、一躍世界中のブレイカーから脚光を浴びるようになった。 そして、今のダンススタイルに通ずる「学び」と「気づき」を得られた出来事が、16歳で出場した「2018年 ブエノスアイレスユースオリンピック」だった。 ブレイキンが五輪初の正式種目として採用された記念すべき大会だったが、Shigekixは惜しくも3位に終わる。 「それまでも敗北を経験したことは何度もあったが、ここまで悔しくて無念な気持ちになった敗北感はなかった」 最善の準備で臨んだ大会だったのに、結果を出せなかった。どういう風に、気持ちを整理すればいいのか。ダンサーとして、今後どのようにキャリアを積んでいけばいいのか。 ユースオリンピックで頂点に立てなかったことで、「なぜ頂点に立てなかったのか」を自問自答を繰り返しながら考えていくうちに、あらためて自分の未来像や目指すべき目標が明確になっていったという。 「この2018年のユースオリンピックは、自分のキャリアがゲームチェンジした瞬間でしたね。今振り返ってみても、大会の前と後ではブレイキンに対するマインドやモチベーションが全然違うなと感じています。 自分のブレイキンとより向き合うきっかけになりましたし、どんなダンサーになりたくてそのためにはどんなことをもっと学ぶべきなのか、意識を向けるべきなのか。大会への準備期間、大会当日はもちろんですが、日々の生活から常に考えるようになりました」
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