上京して「都市ガス物件」に住んだら、ガス代の安さにびっくり! なぜ全国で都市ガスを使わないの? それぞれの費用も比較
地方から上京して初めて都市ガス物件に住むと、そのガス代の安さに驚く人は多いでしょう。しかし、日本全国で都市ガスが使えるわけではなく、プロパンガスしか使えない地域も多くあります。なぜ地方ではプロパンガスが主流なのか、その背景を詳しく見ていきましょう。 ▼エアコンを「10時間」つけっぱなしだと、電気代はいくらかかる? 電気代を抑える方法も紹介
都市ガスとプロパンガス、どう違うの?
都市ガスとプロパンガスは、成分や供給方法に大きな違いがあります。 ■都市ガス 都市ガスは主にメタンを主成分とする天然ガスと液化天然ガス(LNG)が原料で、地下に埋設されたガス管を通じて供給されます。供給エリアは都市部が中心となります。 ■プロパンガス プロパンガスは液化石油ガス(LPG)を使用し、ボンベで各家庭に配送されるのが一般的です。ガス管の敷設が難しい地域でも利用できます。 ■発熱量の違い プロパンガスと都市ガスは成分が異なるため、同じ体積だとプロパンガスのほうが都市ガスの約2倍の発熱量になります。つまり、必要な使用量は、プロパンガスは都市ガスの半分ですむのです。
実際の価格差はどれくらい? 都市ガスは本当に安い?
都市ガスもプロパンガスも、料金は「基本料金+使用量に応じた従量料金」で計算します。平均的な家庭での使用量を1ヶ月あたり20立方メートル(都市ガスの場合)とした場合の料金を比較してみましょう。 ■都市ガスの平均料金 1ヶ月あたり20立方メートル使った料金を東京ガスの料金表から計算すると、以下のとおりです。 基本料金+使用量×基準単位料金 759円+20立方メートル×145.31円=3665.2円 ■プロパンガスの平均料金 プロパンガスは、都市ガスに比べ熱量が約2倍となるため、必要な体積は半分の10立方メートルとします。 日本エネルギー経済研究所の2024年10月の確報によると、東京都では以下のとおりです。 基本料金+10立方メートルあたり料金 1897円+8246円=10143円 都市ガス料金は約3670円であるのに対して、プロパンガス料金は約1万円強と、2.7倍以上も割高になることが分かります。もちろん地域や会社によっても異なりますが、相対的に都市ガスのほうが安いと言えるでしょう。 ■なぜプロパンガス料金は高い? プロパンガスの料金が高い理由には、主に輸送コスト、事業者間の競争不足、そして需要の分散が挙げられます。プロパンガスは、ボンベを各家庭に配送し、必要に応じて交換する仕組みが一般的です。この配送や交換には手間やコストがかかり、その分が料金に反映されています。 また、地域によってはプロパンガス事業者が少ない場合があり、十分な価格競争が行われていないことも一因です。このような状況では、利用者が高い料金を支払わざるを得なくなることがあります。さらに、都市ガスのように1つのガス管を使って多くの家庭に供給する形態とは異なり、プロパンガスは個別供給が基本です。 このような構造的な要因が、プロパンガス料金の高さに直結しているのです。