「オバケ?」展(PLAY! MUSEUM)レポート。オバケ屋敷、落語、銭湯、500冊絵本など、みえないものと想像力豊かに遊ぶ博覧会
みえないものがみえるかも?「オバケ屋敷」
いちばんはじめの薄暗い部屋には、詩と絵からなる《せんめんじょできっちんで》が展示されている。詩人・グラフィックデザイナーのウチダゴウがオバケについて書いた詩に、絵本作家・美術家のザ・キャビンカンパニーが絵を描いたインスタレーション。絵の瞳のなかにオバケらしきものが描かれているが、オバケは見えない。となりの部屋からは「ひゅ~どろどろ~」とオバケが出現するときおなじみのあの音が聞こえてくる。 次の部屋に行くと、そこは「オバケ屋敷」! 思い切って展覧会のなかにオバケ屋敷を作ってしまったのだという。薄暗い部屋は、風の音や、扉が「ギィィィ」ときしむ音、引き出しがバタンと閉まる音など、いまにもオバケが出てきそうな気配に満ちている。プレスツアーの集団で歩いていた時は「そんなに怖くない」と思っていたが、戻ってひとりで写真を撮っていると、なかなか雰囲気のある場所である。万が一本物のオバケが写真に写ってしまったらどうしようと少しびくびくしながらシャッターを切った。
春風亭一之輔のオバケ落語「ねないこだれだ」はいかが
おそろしいオバケ屋敷を通り過ぎると、「会いたいオバケ・会いたくないオバケ」のコーナーへ。最初は、会いたいオバケとして、アネット・チゾンとタラス・テイラー著の絵本『おばけのバーバパパ』と触れ合えるコーナーがある。子供たちが大好きなバーバパパが音楽に合わせて現れたり消えたりする。 バーバパパに癒された後は「会いたくないオバケ」とご対面。子供の頃に怖い思いをしたことがきっとある、せなけいこ著の絵本『ねないこだれだ』のコーナーへ。笑点にも出演する人気落語家の春風亭一之輔が落語で朗読してくれる。せなけいこが「ねないこだれだ」を思いついたのは、落語家の夫がきっかけだったのだという。ゆらゆらと揺れるカーテンに投影される映像はまるで幽霊のよう。ここでしか見ることのできない「ねないこだれだ」を体感してほしい。 短編アニメーション「つみきのいえ」で第81回アカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した加藤久仁生の新作・オバケアニメーション《オバケズ》も見逃せない。アメリカ、中国、フランス、ボリビアなど、世界各地のお墓コーナーを抜けて、研究員たちがオバケについて研究成果を発表する「オバケ研究所」へ向かおう。