「オバケ?」展(PLAY! MUSEUM)レポート。オバケ屋敷、落語、銭湯、500冊絵本など、みえないものと想像力豊かに遊ぶ博覧会
「オバケ研究所」と世界のオバケ絵本500冊の本棚
半透明のビニールでおおわれた「オバケ研究所」に入ると、オバケ研究員たちの研究成果が発表されている。Allright Graphicsによる、オバケっぽいものを集めたコーナーがその一角にある。オバケとデザイン志向を結びつけた展示を通して、子供たちが日常のなかでオバケを探す視点を身に着けてほしいという。 「懐かしい!」と著者が興奮したのが、シートの粘着物を指で触ることでけむりが出てくる「おばけけむり」。昔は駄菓子屋によく売っていたが、すでに製造中止になっており、貴重な一品なのだとか。 透明なスケルトンの素材も、骸骨のイメージからオバケにつながる。「オバケカボチャ」と呼ばれるように、特別大きいサイズのものも日本ではオバケになることも多い。多摩川河川敷で採取したというオバケも段ボールに梱包されてさりげなく展示されていた。箱は、小刻みに動き続けている…。 オバケ研究所には、川内倫子、くどうれいん、柴田元幸、春風亭一之輔、谷川賢作、田中康弘、矢部太郎の研究成果も発表されている。研究所らしく、オバケ研究所と書かれた原稿用紙に印刷された成果発表がホワイトボード画面いっぱいに掲示されている。 研究所の成果発表スペースの周りをぐるりと囲むように、特別研究員の広松由希子(絵本家)がオバケ絵本を500冊集めた本棚が広がっている。なかなか手に入らない世界各国の貴重な本から、昔読んだことのあるおなじみの絵本まで、そのボリュームは圧巻。下から2列目までは、手に取って実際に読むことができる。 また、オバケ研究の第一人者である日本美術史学者・安村敏信による「日本美術におけるオバケの歴史」展示。谷川俊太郎(詩人)と谷川賢作(編曲家・ピアニスト)親子によるオバケの言葉と音楽「けいとのたま」。空想地図作家・今和泉隆行による架空のカード決済端末の作品など、オバケを楽しむためのユニークな研究成果が散りばめられている。