“絶好調男”巨人・中畑清氏を震え上がらせた江夏豊氏のひと言とは!? 「ファンの思いがひとつになった」現役最後の日の日本シリーズ代打ホームラン
“首位打者”よりも遊びたかった!?
昭和62年、中畑氏はチームメイトの篠塚氏、広島の正田耕三氏、中日の落合博満氏らと激しい首位打者争いを繰り広げる。しかし、シーズンの最後に調子を落として打率が急降下、首位打者は篠塚氏と正田氏が分け合った。 中畑: これはね、残り5試合、ヒットを1本ずつ打てば首位打者だったの。でも、言い訳かもしれないけど、残り5試合で優勝が決まっちゃった。あとは遊びたかったの。 徳光: そうか(笑)。 中畑: やっぱりね、集中力っていうのはすごく大事なんですよ。俺は、自分だけ一生懸命やってるという空気が嫌なの。ノリが悪いんですよ。5試合で1本も打てなかったの。 でも、このメンバーの中で首位打者争いできたっていうのは、やっぱり勲章でしょ。この顔ぶれの中に名前があったっていうだけでもいいと思うね。
江夏豊氏との恐怖体験!?
徳光: 苦手なピッチャーっていうと誰になりますか。 中畑: 江夏さん。江夏さんは苦手とかいうレベルじゃないですね。怖かったですよ。 中畑氏の江夏氏との対戦成績は13打数ノーヒット、5三振と完ぺきに抑え込まれている。 中畑: 江夏さんは、アウトコースに来たボールが、ホームベースの前のところでは外側にいるんですよ。それなのにホームベースの後ろの角をすり抜けてストライク。それが江夏さんのカーブなんです。そのボールに対応するには、踏み込まなきゃいけない。 そうすると、今度はいい具合の真っすぐが来るんです。俺の気持ちを読んでるかのように。そういう配球をしてくるんですよ。 徳光: なるほど。 中畑: あるとき、江夏さんがボールを土で真っ黒にするから、ベンチから「ボールを変えてもらえ」って指示があったんです。審判にボールを変えてもらったら、江夏さんが新しいボールをまた泥んこにしながら、ゆったりゆったりこっちに歩いてくる。それで、立ち止まったと思ったら、顔をグッと俺の方に向けて、「若造、ボール変えてくれだぁ。こらっ、10年早いんだよ!」って。 徳光:えーっ。 中畑: 「おーっ」ってビビりあがっちゃって、思わず「すいません!」って謝って…。それで、インハイのくそボールを振って三球三振で終わりですよ。
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