今も年間1万人以上が感染 せきや体のだるさが続いたら要注意?令和に知っておきたい『結核』の脅威と症状 発症のカギを握るのは「免疫力」
結核は過去の病気ではなく、今も多くの人が苦しんでいる感染症です。年間約1万人が感染し、1500人以上が亡くなっています。関西地方での感染率が高いことや、高齢者施設での集団感染など、結核の現状と予防法について、関西医科大学付属病院・宮下修行教授への取材をもとにまとめました。感染経路、症状、治療法、そして最も重要な予防法である免疫力向上のポイントを解説します。 【動画】高齢者施設で集団感染…他人事じゃない!?『令和の結核』 ◎宮下修行:関西医科大学附属病院教授 呼吸器・感染症内科
かつては「不治の病」 今も1年間に1500人以上が死亡
結核は、かつて「不治の病」「亡国の病」と恐れられた感染症で、昭和20年代まで日本人の死亡原因第1位でした。正岡子規や樋口一葉らも結核で命を落としました。しかし、現代において結核は過去の病気となったわけではありません。 近年、結核患者数は減少傾向にあるものの、去年は約1万人が感染し、1587人が死亡しました。2004年には3万人弱だった感染者数が、現在は約3分の1に減少しましたが、依然として警戒が必要な状況です。 最近では、福島県の高齢者施設で集団感染を確認。34人が感染して4人が発症するという事例も報告されています。
罹患率は関西が高い!?
結核の罹患率が関西地方で特に高いことが明らかになっています。この数値は、人口10万人あたり何人が感染して治療にあたっているかというものを年間ベースで示したものです。全国平均が8.1人であるのに対し、最も高い大阪府では13.1人となっています。 大阪府に次いで、大分県(12.2人)、奈良県(10.8人)、兵庫県(10.2人)、京都府(9.9人)と、関西の府県が軒並み高い罹患率を記録しています。 なぜ関西地方、特に大阪府で結核の罹患率が高いのか...その理由について、明確にはわかっていないものの、大阪府によりますと、大阪は人口密度が高い上に、高齢者の割合が高い。高齢者は免疫力が低いため、こういった数値が出るのではないか、という見方もあるということです。