阪神を連敗脱出させた巨人との違いとは…“幻の開幕投手”青柳と“サトテル”で快勝も巻き返しに残る不安
95球1失点の粘投を続けた“幻の開幕投手”青柳から9回には岩崎にスイッチ。二死から小幡が丸の打球をさばけず(記録は内野安打)出塁を許したが、新型コロナ対策で禁じられているはずの“いただけない”「あと1人」「あと1球」コールの中、ウィーラーをセンターフライに打ち取りゲームセット。 今季2度目のテレビインタビューに答えた矢野監督は、「毎日(ファンを)喜ばしたいと思って、このような結果になっていることは申し訳なく思っています。全員が全力で戦ってくれている。僕も“なんとかしていきたい“という気持ちを毎日持ちながら戦っています」と17試合で1勝しかできていなかった状況を謝罪した上で安堵の表情を浮かべた。 なぜ阪神は連敗地獄から脱出することができたのか。 高代氏は阪神と巨人の守りの違いを指摘した。 「これまで阪神は守りのミスで負けるケースが目立っていたが、この日は、まるっきり逆。巨人にミスが出て、阪神は青柳の素晴らしいピッチングも含めて守り勝った。伝統のGT戦の緊張感と連敗の危機感が集中力に変わったと思う。ゴロを打たせるタイプの青柳は、3つの併殺打。いずれも4-6-3の併殺プレーだったが、小幡の守りが光った。私が2軍のコーチ時代に入団した選手だが、当時から目を引くセンスがあり、肩とリストが強いからスローイングに余裕がある。4回はバウンドの合わせにくい詰まったゴロだったが上手く対応し、トスも含めて3つの併殺打のスローイングがすべて正確だった。中野もタイミングを合わせやすかったと思う。対する巨人は名手の坂本が信じられないミスを続けた。そのひとつがロハスの本塁打につながったのだから守りの明暗が試合を左右したと言っていい」 青柳の真骨頂は両角にボールを落としてのゴロアウトの量産である。この日も10個のゴロアウトを稼いだが、3回一死一塁で若林、4回無死一、二塁で丸、8回一死一塁でまた若林と、いずれもセカンドゴロの3つの併殺打で巨人の反撃を断った。 対する巨人は6回二死から糸原の三塁、ショート、レフトの間に上がったフライを坂本が落球。これは得点につながらなかったが、8回に先頭の大山のゴロを弾き、ロハスのホームランにつながった。また7回には青柳のバント処理を中田がミスする失策もあった。失策数では4年連続ワーストの阪神とは比べものにならないくらい少ない巨人だが、この日は、守備力が明暗を分けた 開幕投手に内定しながらも新型コロナの陽性反応で、出遅れた青柳がエースの存在感を示し、2番で起用された新主砲の佐藤の一発で勝つという理想的な連敗脱出の形でようやく両目が開いた。この勝利が今度こそ巻き返しの狼煙となるのだろうか。