阪神を連敗脱出させた巨人との違いとは…“幻の開幕投手”青柳と“サトテル”で快勝も巻き返しに残る不安
阪神が15日、甲子園球場で行われた巨人戦で4-1の逆転勝ちを収め連敗を6でストップ、5日の横浜DeNA戦以来の今季2勝目をマークした。新型コロナの影響で内定していた開幕投手が幻に終わり、今季初登板となった青柳晃洋(28)が8回を1失点に抑える好投を見せ、2番で起用された佐藤輝明(23)が5回に逆転4号2ランを放ち甲子園を盛り上げた。阪神は今度こそ巻き返せるのか。
「必死に食らいついた結果」
3万4153人が詰めかけた甲子園球場が熱狂した。5回二死二塁から佐藤が右手1本で豪快に弾き返した逆転の4号2ランがライトスタンドへ吸い込まれていく。ここまでわずか1勝。ワースト記録を次から次へと更新している惨状も「終わったこと」で片づける懐の深さと爽快さがナニワの虎ファンである。 カウント2-2からの7球目のスライダー。 「点が欲しいところだったので必死に食らいついた結果、風もあって入ってよかった。変化球も頭に入れつつ、最後打てる球が来たので、何とか必死に食らいついた」 ヒーローインタビューでの佐藤は絶好調だった。 菅野は追い込んでからストレートを2球続けたが、いずれもファウルにされ大城のサインにクビを振ってスライダーを選択していた。一昨年まで7年間、阪神のユニホームを着ていた評論家の高代延博氏は、こう解説する。 「2アウトからライト前ヒットで出塁していた中野がカウント1-1から走った。明らかに巨人バッテリーはそれで動揺した。本塁打を打たれたのは菅野がサインにクビを振ったボール。ストレートをもう1球続けるか、フォークを落とすかのサインだったと思う。だが、菅野はファウルから感じたストレートへのタイミングとフォークがボールになって3-2になることを恐れて、膝元のギリギリのゾーンにスライダ―を曲げようとして甘く入った。まだ完全に調子が戻ったとは言えず、ストレートに差し込まれ気味だった佐藤にとっては、泳いでも振り切れる最も可能性の高いボールだった。中野と佐藤のつなぎも含め、あらゆる要素が交錯し生まれた価値ある逆転アーチ。佐藤も気分的に乗っていけるだろう」 前日の中日戦では機能しなかった「1番・中野」、「2番・佐藤」の新打線が見事にはまったのだ。中野は、この日2安打。3回には三ゴロに終わったが、9球粘って調子の上向かなかった菅野に“ボディブロー”を見舞った。8回には「5番・レフト」の抜擢を受けたロハス・ジュニアが初球から積極的に打ちにいき、待ちに待った追加点となる2号2ランをバックスクリーンに放り込んだ。 「ウインド(風)アリガトウゴザイマス」 ロハスは日本語でそうおどけた。