メキシコ版・餃子の皮!?日本で「トルティーヤ」がじわじわ人気になっていた
トルティーヤ、実は何にでも合う食材
しかし、日本でトルティーヤだけが単独でヒットするのはなぜだろうか。「たべみる」で、トルティーヤと合わせて検索される材料を調べてもらったところ、興味深い傾向が浮かび上がった。 2014年から2019年まで、検索される材料トップ3に選ばれたのは、タコスの一般的な材料のソース、鶏、アボカド、ひき肉だった。ところがタコスが流行し始めた2020年以降、傾向が変わってくる。 2020年はそれまで4位や5位だった米粉が3位になり、流行が後退した2022年は5位まで落ちるが、2023年と今年は1位になっている。また、2022年と2023年はオートミールが2位。一方で、トウモロコシ粉以外のトルティーヤの材料としてポピュラーな薄力粉は、2014年に4位だったほかは2016年、2017年の7位が最上位で、今年は10位以内にすら入っていない。レシピ検索では、トルティーヤで挟む材料を探す人もいれば、トルティーヤ自体を手作りしようと考える人もいるのだろう。そして、その材料に最近人気の米粉やオートミールを選ぶ人もいる。 しかし、一般的な材料の薄力粉も不人気で、本場のトルティーヤで使われるトウモロコシ粉(コーンミール)に至っては、日本でこの粉が浸透していないからか一度も10位以内に登場していない。もしかすると、ブームと共にトルティーヤ自体が早くもアレンジされているのか。ここに、トルティーヤ自体の流行が見える。 アレンジについて調べてみると、『メシ通』2021年7月26日配信記事「身近な料理や意外な食材を巻く『雑トルティーヤ』がうまいので毎日の常食にすべき【ブリトー&タコス】」では、「前日の余った食材を、とにかく巻いたり包んだりすればいい」とし、豚のしょうが焼きや肉じゃがを挟むアレンジレシピを紹介している。『サンキュ』のウェブ版2022年9月27日配信記事「【コストコ】実はコスパ最高!トルティーヤ生地が使える!&アレンジレシピ2選」でも、市販のトルティーヤを使ったピザのレシピ紹介記事があった。同記事で紹介されているトルティーヤは、コストコ以外のスーパーや輸入食材店でも買える。クックパッドの「余ったトルティーヤ」の使い方レシピとしても、ピザやサンドイッチなどのアレンジ方法が紹介されていた。 考えてみれば、トルティーヤはメキシコ版のクレープやパンケーキ、ギョウザの皮と言える。穀物粉で作った皮と見なせば、確かに好きな具材を載せられるはずだ。「タコスのすべて」でも自由自在なアレンジが紹介されているし、メキシコ大使館はずばり「タコスは自由だ。」というタイトルの記事をnoteで今年7月10日に配信している。「正しいタコス」像を押しつけてくる文化では、そもそもない。となると、アレンジ大好き日本人が、何もしないわけがない。日本には、1980年頃から流行しすっかり定着した手巻きずしの文化もある。 最初はサルサをかけたりアボカドを挟むなど、それっぽい食べ方をしていた人が、食べるうちに、「これってハムを挟んでもおいしいんじゃない?」「ラタトゥイユの残りを」「カレーの残りを」などと、どんどんアレンジしていく風景が目に浮かぶようだ。トルティーヤはもしかすると、料理の発想を広げる便利なアイテムなのかもしれない。これからパーティの季節が始まる。今年は、さまざまな具材になる料理や食材を並べ、トルティーヤパーティを開いてみてはいかがだろうか。