「コーチ」がNYを一望する高架から伝える 「自分らしさ」と「サステナビリティ」でつくる新しいラグジュアリーの感性
スチュアート・ヴィヴァース(Stuart Vevers)がクリエイティブ・ディレクターを務める「コーチ(COACH)」は、9月6~12日(現地時間)に開かれたニューヨーク・ファッション・ウイークで2025年春夏コレクションを発表した。会場となったのはマンハッタンの高架跡地を再開発した空中庭園ハイラインの「スプール」。ショー当日は気持ちのいい秋晴れとなり、ランウエイのように細長く伸びた敷地からはニューヨークの街並みを見渡すことができた。
ファーストルックは多くの人が目にしたことのあるだろう「I ♡ NY」のプリントTシャツにテーラードジャケット、チノパンというクラシックなアメカジスタイル。ヴィヴァースはニューヨークという街での軌跡やこの街への思いをコレクションに投影してきたが、今シーズンも会場選びからファーストルックまで、ストレートにニューヨークへの愛が感じられた。
新世代のレンズを通して解釈するアメリカン クラシック
引き続き新世代のレンズを通して探求したコレクションは、ルールに捉われない個性とセルフ エクスプレッション(自分らしさの表現)の大切さを伝える。「コーチ」が得意とするレザーグッズからも、新世代のユニークで自由な発想が垣間見られた。新たに登場した新作スニーカー“ソーホー”はクラシカルなデザインに、はき潰したようなダメージ加工やグラフィティー風のデザインが施されている。トウ部分にはカセットテープやタクシーのチャームが付けるなど、ウィットに富んだ発想はヴィヴァースの常套句だ。
バッグに付けられた星や恐竜のチャームもさることながら、モデルが小脇に抱えた巨大なクラッチバッグが目を引いた。リップやハートのユニークなシェイプ、スニーカーと同様にグラフィティーのようなデザイン、ペタペタと貼られたステッカーがポップで楽しい。モデルもジェンダーレスでボディシェイプもさまざまだ。正解はない。個性を尊重した、ありのままの姿が今の時代を象徴している。また、11月の大統領選に向けて話題が尽きない米国。カマラ・ハリス副大統領のステップ・ドーター(継娘)のエラ・エムホフもモデルとして登場した。