2016年の鉄道を振り返る 鉄道ライター・伊原薫
東京メトロ銀座線渋谷駅で線路切り替え
大規模な再開発が進められている渋谷駅周辺。東京メトロ銀座線の渋谷駅も移転が予定されていますが、これに向けた大規模な線路の切り替えが11月に行なわれました。 工事は2週に分けて実施され、延べ4日間にわたって銀座線の一部区間が運休となりました。中でも、折り返し運転が行なわれた青山一丁目~表参道間では、1本の線路を1つの列車が行ったり来たりする、「単線並列」という珍しい様子が見られました。
留萌本線の一部区間が廃止
JR北海道の中でも最も営業収支の悪かった、JR留萌本線の留萌~増毛間が12月4日をもって廃止。1921年の開業以来、95年にわたる歴史に幕を下ろしました。同区間は100円の収入を得るためにかかる経費を示す「営業係数」が4000を越え、国鉄時代に「日本一の赤字路線」といわれた美幸線をも上回っていました。 また、これに先立つ11月16日には、JR北海道が「単独では維持することが困難な路線」として、13線区・1237キロを公表。これは、同社が運営する在来線の約半分にあたります。今後はバス転換なども念頭に自治体と協議するとしていて、北海道の鉄道網は重大な局面を迎えています。 今年はどちらかというと大きな話題が少なかった印象を受ける、日本の鉄道。しかし、JR北海道の路線維持問題や、JR三江線の廃線が決定するなど、日本の鉄道網は大きな岐路に立たされています。単に赤字だから、利用者がいないからという理由で鉄道を廃止して良いのか、車が利用できない人々の暮らしを今後どうやって守っていくのか。北海道だけにとどまらず、近い将来全国へ波及するこの問題を、国全体で真剣に考えなければならない時期に来ていると言えます。 一方で、来年はいよいよ豪華クルーズトレインが運行を開始。東武鉄道のSL「大樹」や、様々な新型車両がデビューするなど、明るい話題も期待されています。来る2017年も日本の鉄道にとって希望の1年になることを、そして鉄道が人々の暮らしをより豊かに・楽しくできるよう、願いたいと思います。