2016年の鉄道を振り返る 鉄道ライター・伊原薫
ポケモンGO騒動、鉄道にも(7月)
7月にリリースとなったスマートフォン向けゲームアプリ「ポケモンGO」。瞬く間に世界中で大人気となった一方、ポケモンを探して街中を歩く人たちが社会的な問題ともなりました。鉄道各社も、鉄道施設内でポケモンが出現しないよう運営会社へ要請するなど、駅構内でひたすらスマホを見つめながら歩く人などへの対応に追われました。
熊本地震で普通になった南阿蘇鉄道が一部区間で運行を再開(7月)
4月に発生した熊本地震によって、熊本県内を中心に九州の鉄道が被害を受けました。このうち、最も大きな被害を受けた南阿蘇鉄道では3ヶ月以上にわたって全線が不通となっていましたが、7月末から高森~中松間で運転を再開。 阿蘇の麓に列車の汽笛が戻ってきました。しかし、残る中松~立野間は被害が大きく、復旧費用も高額になることから、復旧のめどは立っていません。この区間には立野橋梁や第一白川橋梁など、観光名所としても有名な絶景が広がっていて、一刻も早く復旧できるよう、国や自治体の支援を期待したいところです。
豪華クルーズトレインが試運転を開始
JR東日本の「TRAIN SUITE 四季島」と、JR西日本の「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」。両社の手がける豪華クルーズトレインが、9月に相次いで試運転を開始しました。 どちらも10両編成で、シャワーやトイレを備えた最上級の客室設備のほか、一流シェフによる料理が味わえる食堂車や、くつろぎのひとときを過ごせるラウンジカー、そして展望スペースなども充実しています。「TRAIN SUITE 四季島」は2017年5月1日、「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」は同年6月17日の運行開始が決定。一生に一度は乗ってみたい列車です。
JR九州が株式上場
JR6社のうち、4社目となる株式上場をJR九州が達成しました。これまでに上場した本州の3社と違い、経営基盤の脆弱な三島会社は上場が困難と思われていましたが、民営化の目的の一つでもある「関連事業を展開し、その黒字で地域の鉄道を守る」というスキームを実践し、みごとに完全民営化を成し遂げました。