徳川幕府御用達の「奈良晒」から、いいことづくめな麻ふきん。【今日の逸品】
〈岡井麻布商店〉の《麻ふきん》
カーサ ブルータスの人気企画「10選」シリーズから、こだわりの逸品をジャンルレスに日替わりでご紹介します。 【フォトギャラリーを見る】 食器やグラスを拭くなら、断然、麻のふきんである。 海外でいうリネンクロス。綿の約4倍といわれる吸水性の高さに加え、繊維が長く毛羽立ちにくい。おまけに乾きが早くて強度も綿の2倍ある。つまり、水滴をすぐに拭きとれて、拭った後に糸くずや繊維が残らない。清潔な状態を保てるし長持ちする……といいことづくめなのだ。 さて、麻の中でも特にすぐれた麻織物に「奈良晒」がある。その名の通り古くから奈良で生産され、江戸時代には徳川幕府の御用達品としても認められた高級品だ。 そんな奈良晒を今も織り続けている織元が〈岡井麻布商店〉。文久3年(1863年)創業という歴史ある織元が、麻で織った“蚊帳生地”を縫製して《麻ふきん》をつくっている。 粗めに織られた蚊帳生地を2重にしたふきんは、1辺が50cmと大きめ。食器や調理道具拭きだけでなく、キッチンでの手ぬぐいとしても重宝する。水に濡らすと手に優しいモチモチした柔らかさ。乾けばサラッと軽やかで、見た目も感触もさっぱり爽やか。手放せなくなることうけあいだ。 公式サイト
photo_Satoshi Nagare text_Masae Wako