虎に屈辱3タテ許した首位巨人に迫る“5月危機”
昨季11勝の高橋も今季は中継ぎからスタート。この日が、ようやく今季初先発となったが、課題は克服できていなかった。 「左打者のインコースを攻めるボールとコントロールがないのが致命傷。外オンリーの配球で変化球でごまかすには限界がある」と高代氏。 球数が100球に近づく6回には、先頭の佐藤にスライダ―をしっかりと捉えられ左中間を破る二塁打にされると、続く大山の打球をグラブで弾いてしまい、不運な内野安打。一死一、二塁から糸原に対しても外角一辺倒の配球で外角のストレートを三遊間に狙い打たれた。あっさり同点にされて降板すると、2番手のデラロサも梅野に勝ち越しのタイムリーを許す。 まだ、この僅差で粘っていれば、再逆転のチャンスはあったかもしれないが、8回につぎ込んだ鍬原、大江が、四球絡みで打者一巡の攻撃を浴びる。代打・糸井、山本にタイムリーを打たれて4失点。9回にも平内が2失点して終わってみれば接戦が大敗である。 原監督が指摘するように、打線が追加点をあげることができないから、中継ぎにプレッシャーをかけ、ピッチングに余裕がなくなり、四球で自滅する“負の連鎖”を生み出すことになっている。 中継ぎの崩壊を食い止めるには、実は、打線のカバーが重要になってくる。だが、その打線がつながらない。高代氏は、この3戦でノーヒットと、ブレーキになった丸の4回の打席に「打線がつながらない理由」が集約されていたと分析した。 この回、先頭の岡本が強烈なライナー性の打球をレフト前に弾き返して出塁。追加点のチャンスを作ったが、続く丸は、初球のストレートを打って出てショートゴロゲッツーに終わっていた。 「あの初球が、この試合を象徴する、すべてだったと思う。外角低めのストレートを逆方向に打たされての併殺打。左打者の強みとして、こういうケースでは一、二塁間が大きく空くわけだから、まずは引っ張りにかかり、走者を進めることを最低限の仕事として意識しておかねばならない。となると必然、引っ張れるボールを待つことになる。同じ左打者でヤクルトの青木なんかは、こういう場面でしっかりと引っ張ってくる。初球から外角球に手を出して、しかも逆方向に強く打つというより、打たされた打球。丸は何を考えていたのか。一人ひとりが役割をしっかりと考えて打席に入らないと打線はつながらない」