虎に屈辱3タテ許した首位巨人に迫る“5月危機”
首位の巨人が最下位の阪神に1―8で完敗、同一カード3連敗を食らった。今季初先発の高橋優貴(25)が6回に逆転されると、2日連続で中継ぎ陣が炎上。打線も新外国人アダム・ウォーカー(30)の一発のみに沈黙するなど投打共に冴えなかった。3連戦の初戦に先発したエースの菅野智之(32)がヒジの違和感で登録抹消され、この日は左膝の靭帯を痛めたチームリーダーの坂本勇人(33)も1軍メンバーから消えた。上昇気配の阪神とは対照的に好スタートを切っていた巨人が5月危機を迎えている。
2日連続で中継ぎ陣が崩壊
どちらが首位チームなのかわからない。9回。7点差があり、勝利方程式を温存した阪神は加治屋を最終回のマウンドにもってきたが、二死三塁から、最後の打者の岡本がクルっと一回転。一矢を報いることもできずにベンチに引きあげていった。最下位の阪神を相手に今季初となる同一カード3連敗である。 先発の高橋が6回につかまり、6人もつぎ込んだ中継ぎが2日連続で炎上。そして、チームのウイークポイントをカバーせねばならない打線は、阪神先発の西純矢に7回まで、ウォーカーの一発だけの3安打1得点に抑えこまれた。最悪の敗戦パターンだ。 カードの初戦に投げた菅野がヒジに違和感を覚えて3回で降板して登録抹消。さらに坂本が前日のゲームでセンターに抜けそうな当たりを好守した際に左膝を痛めて登録抹消となり、重要な2番打者を失った。各社の報道によると、試合後に原監督は、「(中継ぎ崩壊は)否定はできないが、もう少し追加点を打線の方で。ゲームが重くなってしまう。こういう時こそ起死回生のヒーローみたいのが出てこないとね」と嘆いたという。 一昨年まで阪神で7年間コーチを務めた評論家の高代延博氏は、「昨季の終盤にガタガタと崩れて優勝争いから離脱したときの巨人の状態に近い。5月危機と言っていい」と警告を鳴らす。 最大の問題点は中継ぎの崩壊だ。 「大勢にまでつなぐ勝利パターンが確立されておらず、劣勢の展開では出す投手のレベルが落ちるから傷口が広がってゲームにならなくなる。畠をこの日に登録抹消したが、結果を出した投手を酷使するので、4月が終わった時点で、もう中継ぎ陣が消耗してしまっている。先発が1イニングでも頑張って中継ぎの負担を減らすしかないが、菅野も抜けて、その頭数が揃わない。初勝利をあげた新戦力が7人いるらしいが、裏を返せば、新戦力に頼らざるを得ないチーム状況にあるということ。原監督にすれば、投打が噛み合って新戦力で勝てている間に本来の戦力を整備したかったのだろうが、その前にほころびが見えてきた」