移転によりさらに進化した「麻布台 中むら」店主が心からリスペクトする行きつけとは?
満を持して麻布台に移ってより進化した「麻布台 中むら」は今宵も、舌の肥えた食通でにぎわう。それでも中村氏は「まだまだ暗中模索、食材の未来を考えても不安ですし、ひとつ光が見えたらこれでいいということがない仕事なので毎日こわいです。でも、そういうことを考えられる仕事ってすごくいいなと思うんです」と前を向く。 中村氏はさらに続ける。「足を運んでくださるお客様、日本が誇る生産者さん、農家さん、器の作家さん、さらに食材を運んでくださる方々、店造りに関わってくれた職人の方々、さまざまなインフラに支えられ店があります。そういった人々と技術に感謝し、恥じない堅実な仕事をし続けることが、自分達がすべきこと」と締めくくってくれた。 新たなステージで船出した「麻布台 中むら」では、カウンター席のほかにも、樹齢1000年超えの屋久杉や樹齢500年以上のブビンガ、西陣織のカーテンなどを取り入れ洗練された個室も備える。厳選した神戸牛と旬の食材による日本料理とのマリアージュ、ぜひ堪能していただきたい。
麻布台 中むら
住所: 東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 2F
中村 真利氏のおすすめ4軒
「食べ歩きはいつも女将である家内と」と話す中村氏のお気に入りは、慣れ親しんだ神楽坂から2軒、生まれ育った下町近くの老舗洋食店、川口の寿司店の4軒。中村氏が惚れ込む理由とは?
ディナーのおすすめ①神楽坂 恵さき(えさき)
「家内の両親の誕生日に使わせてもらったこともあります」とディナーの1軒目に挙げてくれたのは、飯田橋駅寄りの神楽坂通りを南に少しそれた「神楽坂 恵さき」。カウンターと小上がり合わせて14席、関西で修業を積んだ店主による上品なおでんで知られるが、炭火焼きや刺身などの一品料理が充実しているのも特徴だ。
「大将が必ず店に立たれているので安心感があります。大将は素材や料理に対して妥協せず、手を抜かず、ある意味とても厳しい人。料理人として互いに刺激し合える存在でもあります」と中村氏。聞けば「神楽坂 鉄板焼 中むら」が軌道に乗る以前から、陰日向になり応援してくれたのが「恵さき」の店主という。おでんは、とろろ昆布が添えられた大根、牛すじ、鰯のつみれなどの定番や試作の末にたどりついた半熟玉子、夏は冷製トマトやもろこし薩摩揚げなども登場。日本酒などを合わせつつ、通年訪れたくなる店である。