歯科医が回答!大人の歯列矯正のリスクは?保険適用できる?【働く30代が知っておくべき歯のすべて】
Q.大人になってから始めることにリスクはありますか?
A.歯茎が下がることは知っておいて 「成人の場合骨がすでに固まっているため、歯列を矯正したあとに歯茎が収縮して下がってしまうことがあります。そうするとそれまで歯茎の中にあったエナメル質のない歯根が出てきて、知覚過敏が起こりやすくなるんです。気になる人は、歯茎が収縮しないようにマッサージの習慣化を」
Q.矯正で健康的な歯を抜くのは悪いこと?
A.一度抜いた歯は戻らないのでできれば抜かないのがベター 「あごが小さく、歯が重なり合うように生えている人は抜いたほうがいいですが、そうでないなら将来のためにもできるだけ残しておくべき。必要以上に本数を減らしてしまうと、歯列が全体的に引っ込んで口もとの凹凸がなくなり、ほうれい線が目立ってしまうことも。最近は抜かない治療方針の先生も増えているので、矯正を考えるならいくつかのクリニックでカウンセリングを受けるのが◎」
Q.大人の矯正で後悔しないためのポイントは?
A.不安なことをすぐに相談できるクリニックを選びましょう 「矯正には時間も費用もかかるので、とにかく自分に合った先生やクリニックを選ぶことが重要です。治療計画に納得できることはもちろん、不安なことをすぐに質問できたり、満足のいくコミュニケーションがとれるかどうかが第一。1軒目で決めず、何件か回って比較することをおすすめします」
Q.抜歯矯正で口もとが後ろに下がりすぎた場合、前に戻すこともできるのですか?
A.できません 「矯正は、基本的に歯を奥に動かしながら整えるもの。前突した歯を下げることはできますが、奥から手前へ歯列自体を動かすのは難しいです。ただし、前歯を引き出すような傾斜をつけ、広がったように見せることは可能です」
Q.大人の矯正は保険適用ですか?
A.大人も子どもも基本的には保険適用外です 「歯並びの悪さは病気ではないので、残念ながら自費診療です。ただし、年間の治療費が10万円を超えると医療費控除が受けられるので、ぜひこの制度を活用して。ごくまれですが、日常生活に支障をきたし、外科的な視点から治療が必要だと判断された場合は保険適用になる場合もあります」 イラスト/ツルモトマイ 取材・原文/野崎千衣子 ※BAILA2024年6月号掲載