会社内で発生する令和の“不適切”「フキハラ」「ハラハラ」「ツメハラ」って? “新型ハラスメント” 法的に問題になるのは…【弁護士解説】
「職場で爪を切る」行為もNG!?
そうした世相を反映してか、週刊誌の『週刊現代』(2024年11月9日号)が、「あれも、これも不適切! 息をするだけで訴えられるかもーー 社会を悩ます『新型パワハラ44』」と題した記事を掲載している。 記事では職場や日常生活で気をつけたい「新型ハラスメント」の一覧表が載っており、それぞれの解説が付されているが、その一例はこうだ。 【フキハラ】不機嫌な態度や表情、ため息をくりかえし、精神的な苦痛を与える。 【キボハラ】キーボードをたたく音やマウスの音などで、周囲の人を不快にさせる。 【オオハラ】メジャーで活躍中の大谷選手をめぐる報道が過剰だという反発から。 【エイハラ】「おじさんにはわかりませんよ」など年齢や世代を理由に嫌がらせをする。 【ツメハラ】自宅ですればいいにもかかわらずなぜか職場で爪を切る。 【ハラハラ】上司などに、何かにつけて「これはハラスメントだ」と主張する。 一覧表には、思わず冗談に思えてしまうような、意外な内容も含まれているのだが、これらの例を見た上で、「程度が過度になれば、例えば会社の総務や労働組合に駆け込まれるなど、職場で実際に法的な問題になりそうなもの」を、前出の松井剛弁護士にあげてもらった。 「もちろんすべて程度が行きすぎれば法律に抵触する可能性はありますが、その上で、一覧表を見た限り、問題化される可能性が高いと感じたのは、【パタハラ】、【ケアハラ】、【プレマタハラ】、【ロケハラ】、【ハラハラ】【ホワハラ】【ツクハラ】あたりでしょうか」 まずはそれぞれ、『週刊現代』の解説を引用しておこう。 【パタハラ】育休や時短勤務を希望する/利用した男性に嫌がらせをする。 【ケアハラ】介護休暇を取得した人に嫌がらせをしたり、制度を利用させない。 【プレマタハラ】(人手不足を懸念して)妊活や妊娠を妨げようとする発言をする。 【ハラハラ】※前述の通り 【ロケハラ】スマホの位置情報サービスで社員の居場所(ロケーション)を監視する。 【ホワハラ】上司が部下に過剰な配慮をすることで、部下の成長機会を奪う。 【ツクハラ】自席の机の上に、他人から見たら不快に感じるようなものを置く。 これらについて松井弁護士が解説する。 「【パタハラ】や【ケアハラ】、【プレマタハラ】などは、問題となる可能性が高いハラスメントです。男性も育児休暇を取るための法制度も整えられている中で、それを理由に嫌がらせするのはNGです。 同様に、育児介護休業法に基づいて介護休暇を取得する人に対して、それを理由に不利益な取り扱いをすることも、育児介護休業法違反となる可能性があります。つまり『産休、育休、介護休業を取らないように仕向ける』というのは、問題が大きいと思います」