ホンダの次世代EV「ゼロシリーズ」への期待と不安…現状のデザインと販売システムで、テスラやBYDに勝てる?
米ラスベガスで開催された世界最大級のIT・家電見本市で、ホンダ「ゼロシリーズ」量産プロトタイプが登場した。これまでのホンダと比べてデザインの先進性、ホンダらしい走りの良さ、そしてIT技術を満載した次世代エンターテインメントなどを満載。激化するグローバルEV市場でホンダの勝ち筋は見えてきたのか。(ジャーナリスト 桃田健史) 【この記事の画像を見る】 ● ランボルギーニ「カウンタック」や 「エスパーダ」を彷彿とさせるデザイン 本田技研工業(以下、ホンダ)は米ラスベガスで開催されたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)で1月8日、「ホンダ 0(ゼロ)サルーン」と「ホンダ 0 SUV」を世界初公開する。 これらは量産を前提としたプロトタイプだ。2026年中にSUV、そしてサルーンの順で米国を皮切りに、日本や欧州でも発売する予定だ。 果たして、ホンダはゼロシリーズ導入で、EV市場で先行する米テスラや中国BYDとの競争を勝ち抜くことができるのだろうか。 長年にわたりグローバルEV市場の現場取材をしてきた筆者としては、今回の発表を受けて、ホンダゼロシリーズに対する期待と不安を抱いた。 まずは、発表内容から振り返ってみたい。 ホンダは昨年のCESでゼロシリーズのコンセプトモデルとしてサルーン、またミニバンのような形状の「スペースハブ」を公開しており、ゼロシリーズをホンダの次世代事業の柱に据えることを強調していた。 そんなサルーンだが、デザインについてはホンダ社内外から1970~80年代にかけて人気を博した、いわゆるスーパーカーの代名詞である「ランボルギーニ・カウンタックか?」とやゆする声が聞かれる。 今回の発表では、ゼロシリーズとして30年までに7モデルを市場投入することも明らかにした。 初年度となる26年には、サルーン、SUVに加えて、エントリーSUV。続く27年には3列大型SUV、さらに28年にコンパクトSUV、29年にはスモールSUV、そして30年にはコンパクトセダンという合計7モデルである。 各モデルがどんなデザインで登場するのか、実に興味深い。 こうしたゼロシリーズ全体の商品コンセプトとしては、「Thin(薄く)」、「Light(軽く)」、そして「Wise(賢く)」を掲げているが、今回はそのうちのWiseに焦点を当てたプレゼンテーションとなった。