ホンダの次世代EV「ゼロシリーズ」への期待と不安…現状のデザインと販売システムで、テスラやBYDに勝てる?
● ホンダの独自性を強めて ライバルとの競争を勝ち抜く構え Wiseでは、大きく3つの領域がある。 一つ目は、ホンダ独自のビークルOSである「アシモOS」。OS(オペレーティングシステム)は、パソコンやスマートフォンの世界でも重要性が高いことを多くの人が認識しているだろう。 二つ目は、自動運転技術だ。 世界初の自動運転レベル3の機能を搭載したモデルとして、ホンダは21年に「レジェンド」を世に送り出した。自動運転レベル3とは、運転の主体が運転者ではなく、クルマのシステムに移行する状態を示す。また、走行条件や気象条件が変化してクルマのシステムが運転を続行できなくなった場合、システムから運転者に運転をリクエストする場合も想定される仕組みだ。 ホンダはAI(人工知能)関連技術を活用して、自動運転レベル3をゼロシリーズでさらに進化させる構えだ。 そして三つ目が、エネルギーサービスだ。 充電網の構築については、自動車メーカー8社でつくる合弁会社「IONNA(アイオナ)」や、テスラのスーパーチャージャーを活用するNACS(ノース・アメリカン・チャージング・スタンダード)の充電器、合わせて10万口を30年までに整備する。 さらに、ホンダ独自のエネルギーマネジメントサービスとして、再生可能エネルギー由来の電力を、家庭内のV2H(ビークル・トゥ・ホーム)と連携するトータルサービスを目指す。 なお、サルーンとSUVの両モデルとも、搭載する電池の種類、容量、満充電での航続距離、そしてモーターの出力やトルクなどについては今回未公開だった。 ホンダの長期ビジョンである「40年までのグローバルでEV(および燃料電池車)新車100%」に向けた基盤作りが徐々に具体化されたことで、売り上げ20兆円という大企業としての次世代事業に向けた本気度を感じた。 さらに、昨年末に都内での記者会見を取材した、ホンダ・日産・三菱自動車の経営統合に向けた協議開始に対する期待がさらに高まったともいえるだろう。 一方で、不安も大きい。 特に、デザインと販売システムに対する不安がある。