スーパーエルニーニョと暖冬は「異常気象の時代」への入り口? 地球沸騰化がもたらす地球の未来
いま、日本の海水温の高さは世界でもダントツ
── なんと!日本も。 先ほどの図を見てください。少しズームしますね。 日本近海も真っ赤です。この図では、海水温が平年より5℃以上高いところは黒くなっていますが、三陸沖は黒いですよね。全地球の海の中で平年に比べて最も海水温が高いのが、日本なんです。平年より5~7℃、高い。これはあまり報道されていません。 本来、エルニーニョ現象が起きると日本近海は冷たくなるんです。日本も太平洋の西側にありますから、フィリピン沖だけでなくて日本近海の海水温も下がるのです。 ── では、なぜ、日本の海水温がそこまで高いんでしょうか? 二つ理由があります。一つは今年の夏がとてつもない猛暑だったこと。海面が猛暑に晒されて、海水温が上がったんですね。 もう一つが、「黒潮」の影響です。黒潮は暖かい海流で、本来であればフィリピン沖から日本を北上して千葉県銚子沖あたりで右に外れて、そのまま太平洋へと流れていきます。でも、今年の黒潮はものすごく蛇行している。それは黒潮の流れが遅いからなんですが、ゆっくり自転車を走らせると安定しないのと同じで、黒潮も流れが遅いと不安定になるんです。 そのため、今年の黒潮は東北沖、さらには北海道の南側まで流れている。それに加えて、同じ暖流で黒潮からの分流である対馬海流も日本海側に流れていますから、日本は暖流に挟まれている。それがこの海水温の暖かさに影響しています。 ── 日本近海の海水温が高いことで、私たちの暮らしにどのような影響があるのでしょうか? まずは残暑の厳しさです。2023年は11月や12月でも夏日がありましたよね? あの残暑の厳しさは、日本近海の海水温の高さが一因です。海水温が高くなったら、そう簡単に温度は下がりません。海から陸へと風が吹いても、暖かい海水の上を通ってきた風は温かい。しかも海風だからジメジメしていて、体感温度はもっと上がってしまう。 猛暑の影響で、去年は秋がほとんど無かったですよね。僕はこれをよく「四季が二季になった」と話しています。 ── 海水温の上昇が、日本の季節までも変えてしまうんですね......。 加えて、これから影響がありそうなのが「豪雪」です。実は「豪雪」が起こる大きな原因は、海面水温の高さからです。寒気がシベリアのほうから日本へ向けてやってくるのですが、それが日本海を通過する時、日本海はとても暖かいので、水蒸気がたくさん出る。 冬にお風呂のドアを開けると、湯気がたくさん出てきますよね? あれは脱衣所が寒くて、お風呂が暖かいからその温度差でたくさん湯気が出るんです。だから日本海上にもたくさん水蒸気が出て、雪雲ができる。 地球全体が温暖化しているので基本的には暖かいんですが、一度寒波がやってくると、豪雪になるんです。昨年の12月には、札幌市の隣の岩見沢で1日70㎝以上の雪が降ったそうです。