スーパーエルニーニョと暖冬は「異常気象の時代」への入り口? 地球沸騰化がもたらす地球の未来
地球全体の海水温が、異常に高くなっている
── では、今年のエルニーニョはなぜ「ジャイアントスーパー」なんでしょうか? 通常の「スーパーエルニーニョ」と何が違うか。ペルー沖の水温も高いのですが、いつもは低いはずの太平洋西側の海水温も高いのです。地球温暖化で地球全体の水温が異常に高い中で、スーパーエルニーニョ現象が起こっているのです。 ── そんなことが起こっていたとは......。 こんなのははじめてです。平年と比べた時の海水温の差がわかる図を見てみましょうか。 暖色になっていれば平年よりも海水の温度が高く、寒色になっていれば平年より海水の温度が低いことを表しています。 ご覧のように南米のペルー沖は赤くて、平年より4℃ほど高い。科学者の定義では、海水温が平年より2℃高いだけでスーパーエルニーニョ現象ですし、1℃高いとエルニーニョ現象になる。異常に海水温が高いことがわかりますよね。 エルニーニョ現象のとき、フィリピン沖は真っ青になるはずなんです。どこかが暑ければどこかが冷たくなる。地球はうまくできている。ところが見てわかるように、地球の全てが真っ赤でほんの一部しか青いところしかない。僕はこんな地球を初めて見ました。 ── そうした状況を指して、「地球沸騰化」というワードが出てきているんですか? そうです。この状態を国連は「地球が沸騰している」と表現した。その地球沸騰化に拍車をかけているのが、スーパーエルニーニョ現象です。本来、ペルー沖の海水温は低いので、地球全体の水温が高くても、少しはそれを和らげてくれるんです。そのペルー沖の温度も高いので、地球の海面温度の上昇に拍車をかけている。 ── 一部の報道では3年ほどエルニーニョ現象が続く、ということも言われていますが、来年もエルニーニョ現象は続くのでしょうか? エルニーニョ現象がいつ終わるかの予測は難しいんですよ。貿易風がまた東から西に暖かい海水を押し返せば元に戻るんですが、強い貿易風が吹いてくれない限り、エルニーニョ現象は続く。例年2~3月が一つの境目になっています。現在のエルニーニョ現象は来年春には終わると気象庁が発表していますが、春まで続けばそのまま続くと思います。 ── 貿易風次第で、来年の気象状況が大きく変わるんですね。 ただ、本来はエルニーニョ現象が発生するとき、日本の夏は冷夏になるといわれていたんです。それが、今年は猛暑でしたよね?つまり、今までの気象の理屈が成り立たない時代に来た。こんな状況は我々研究者も初めて経験する状況です。 スーパーエルニーニョ現象に限らず、世界中の海がおかしなことになっているんです。最もおかしい場所が二箇所。一つは今お話したペルー沖、そしてもう一つが日本です。