職場のウォーターサーバーから水筒に水をうつして毎日2L近く持ち帰っています。「給与から引く」と言われてしまったのですが、払う必要はありますか?
会社が従業員用に用意したウォーターサーバーは、基本的に業務中に従業員が水分を補給するために用意されていますが、自宅用として持ち帰る人もいるようです。 そこで今回は、職場のウォーターサーバーの水を持ち帰った場合の処分について解説します。
許可を得ていないなら払う必要がある
結論からいうと、職場のウォーターサーバーの水を許可なく自宅に持ち帰って飲んでいる場合は、従業員は飲んだ分に相当する金額を払う必要があると考えられます。職場のウォーターサーバーは、あくまで業務に必要な備品として設置されているものです。そのため、業務と関係ない目的で使用するのは「横領」に該当するといえるでしょう。 ■ウォーターサーバーの所有権は会社にある そもそも会社に置いてある備品は、本人が持参したもの以外は会社に所有権があります。民法第二百六条では、「所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する」と定められています。 そのため会社に所属しているからといって、会社のものを持ち帰っていいわけではありません。備品の持ち帰りに関してなんらかの規定が定められているなら問題ありませんが、特に記載がない場合は会社の許可が必要です。 例えば会社が支給したハサミやメモ帳、クリアファイルも備品に含まれます。ただし、業務目的で持ち帰る場合は、処罰対象ではない可能性が高いでしょう。 例えば、残りの業務を自宅で進める場合に必要な資料をクリアファイルにまとめて持ち帰るのは問題ないと考えられます。ただし、ウォーターサーバーの水を業務と関連付けるのは難しいでしょう。 ■業務上横領罪に問われる可能性も 会社の備品を許可なく持ち帰る行為は、最悪の場合「業務上横領罪」に問われる可能性も考慮しなければなりません。刑法第二百五十三条に該当する違法行為なので、「十年以下の懲役」が科せられる可能性があります。 また会社の備品に限らず、会社が捨てるつもりで放置してあるものに関しても罪に問われる可能性があります。例えば、会社がハサミを新調して古いものを捨てる場合、捨てるハサミを許可なく持ち帰った場合には、刑法第二百五十四条「遺失物等横領罪」が適用される可能性があります。 基本的に会社のものは、許可なく持ち帰ると罪や処罰が下される可能性があると覚えておきましょう。