【パリ五輪】なでしこわずか及ばず4強ならず。アメリカを抑え込んだものの延長戦の1点に泣き敗退◎準々決勝
パリ・オリンピックでグループCを2位で勝ち抜いた日本女子代表は8月3日(現地時間)、準々決勝に臨んだ。相手は、世界のトップ・オブ・トップのアメリカ。しかし、相手の良さを巧みに消しながらじわじわと攻める戦略的な戦いで堂々と対抗した。スコアレスのまま延長戦に突入したが、その前半アディショナルタイムに失点して、この1点に泣いた。 【動画】守備の集中力が研ぎ澄まされた日本。90+6分のピンチもGK山下杏也加がビッグセーブ ■2024年8月3日 パリ五輪・準々決勝(@パルク・デ・プランス) アメリカ女子 1-0(延長)日本女子 得点:(ア)トリニティ・ロッドマン
アメリカの強みを消したが…
日本は我慢の時間が長くなる。でも、それは想定内。アメリカはグループBで3連勝、9得点は今大会の12カ国の中で最多だ。失点もわずかに2と、難敵であることは間違いない。 アメリカは高さやスピードといったフィジカルの差を利用した戦いではなく、急がずにボールを横に動かして穴を探してきた。このことが、組織的に守る日本にとっては与しやすかっただろう。5バックを基盤としたコンパクトな守備網を敷いて、サイドにフタをしながら高い集中力で対応していく。 アメリカは、日本が初戦で対戦したワールドカップ王者のスペインほど技巧的ではなく、コンビネーションも熟練度は高くはなく予測の範囲内。日本がクイックネスで上回って相手のパスのズレをつつくなど、時間の経過とともに落ち着いて試合を運んでいった。 日本は今大会初先発の清家貴子が体の強さと速さを生かして、ときおり左サイドから持ち込んでいった。それが生きたのが35分。清家が左から持ち運んでペナルティーエリアの田中美南へ送ると、相手を背負いながらも中に運んでフィニッシュ、これがようやく放った日本の初シュートだったが、さらに攻めに出る。1分後にはまたも清家が中央へ、DFのクリアミスを逆サイドから上がってきた守屋都弥がダイレクトで狙った。 前半の45分、困ったのはボールを保持するもののチャンスを作りきれないアメリカの方で、後半に入ってからも戸惑うアメリカのミスを拾って日本がゴールに迫る。 51分には相手のパスミスを拾ってショートカウンター、右ポケットを守屋が突いて折り返したが、わずかに合わずクリアされる。これで得た左CKから、最後は逆サイドの藤野あおばが思い切り狙った。 時間の経過とともにアメリカの拙攻が目立ち、逆に日本がコンビネーションと技術で押し込んでいく。80分には右サイドを崩して藤野の折り返しから、最後は浜野の落としを長谷川がダイレクトで狙った。 90分を終えて0-0。日本が守備で集中し、アメリカが攻めあぐねる展開は変わらなかった。延長戦に入ってどちらも攻めの意欲をもう一度高めると、96分には宮澤ひなたが高い位置で奪ってそのままシュート、直後には南萌華が奪われてソフィア・スミスに抜け出されたが、シュートはGK山下杏也加が前に出てストップした。 しかし、ついにゴールを割られてしまう。延長前半のアディショナルタイムとなる105+2分、クリスタル・ダンからの斜めのロングボールをペナルティーエリア右で収めたトリニティ・ロッドマンが鋭い切り返しから左足でシュート、GK山下の伸ばした手の先を抜けてゴール左へと送り届けられてしまった。結局、アメリカがロングボールに頼ってきてこじ開けたのは皮肉ではあった。 最後の15分へ、日本はあきらめない。107分には交代直後の林穂之香がクロスのこぼれ球に飛び込んでシュート。延長戦から3バックの一角に入っていた高橋はなを前線に上げ、118分には右CKからニアに植木が飛び込んでシュート。しかし、ゴールは遠かった。 日本はアメリカの強みを巧みに消しながらゴールに迫る素晴らしい戦いを見せたものの、わずかに及ばずに敗れて、ベスト4進出はならなかった。 ▼出場メンバー ・日本◎GK山下杏也加 DF守屋都弥、古賀塔子(91分:高橋はな)、熊谷紗希、南 萌華、北川ひかる(106分:千葉玲海菜) MF藤野あおば(81分:宮澤ひなた)、長野風花、長谷川唯(106分:林穂之香)、清家貴子(46分:浜野まいか) FW田中美南(70分:植木理子)
サッカーマガジンWeb編集部