スタートした「マイナ保険証」一本化 そのメリットと懸念点を整理する
マイナ保険証にまつわる騒動
とはいえ、現状マイナ保険証の評判はあまりよろしくない。筆者は割と早めにマイナ保険証を登録した方だが、過去経験したトラブルの例をいくつか挙げてみよう。 まずは、受付の手続きに混乱が見られる。筆者が通ったクリニックでは、マイナ保険証による受付だけでは、受診が後回しになるという表示がされている。マイナ保険証を読み取り機にかけただけで、受診受付されるというシステムもあるが、ここではおそらくそういうシステムは導入されておらず、人による受付が必要なのだろう。そうとは知らず、読み取りだけして、かけて待っているという人が多かったのかもしれない。 大きな病院では、マイナ保険証で受診受付までできるところもあるが、小さなクリニックでは単に保険情報の確認のためにマイナ保険証を使っているだけなのだろう。現状では、こうした病院や調剤薬局の受付のレギュレーションにバラツキがあり、行ってみないと分からないという状況にある。 もう一つ筆者が経験した例では、病院が診療開始したての朝の時間帯で、読み取り機がエラーを吐いているということがあった。パナソニック製の顔認証付きカードリーダーで、よく普及しているモデルだったが、受付の人が再起動をかけたら、ディスプレイ画面にWindowsのデスクトップ画面がそのまま出ていた。USB接続の、ディスプレイ兼タッチスクリーン兼カメラ兼カードリーダーとして動いているのだろう。 システムが再起動するまで、しばらく待たされた。おそらく朝の開業時間は日本全国どの病院でもだいたい同じなので、サーバ側に負荷がかかり、動きが遅くなったりダウンしたりする例があるようだ。 個人認証という点では、マイナ保険証の本人確認として、顔認識か暗証番号が求められる。暗証番号は忘れる人も一定数いると思うが、顔認証はそうそうエラーするものではない。ただ車椅子の人は、認証機器まで顔が届かないということはありうる。この場合、自分で機器を手元まで持って来ていいのか、あるいは顔のところまでケーブルが届くのか、そうした利用が想定されているのかも分からない。 内科では、コロナ禍以降、すでに発熱している場合は病院の受付に入らず、駐車場で車の中での待機を要請されることがある。これまでは保険証を窓越しに提示して、受付の人が番号をメモし、それを手動で照合して保険情報を確認していた。 だがマイナ保険証に一本化されたら、こうした方法ができるのだろうか。熱があっても中に入って本人が保険認証を行うというのでは、感染リスクが上がる。筆者は見たことないが、モバイル認証端末のようなものもあるのだろうか。 政府では、25年春にはマイナ保険証をスマーフォンに搭載するとしている。そうなると受付では、カードで認証する人、スマホで認証する人が出てくる。端末が別になれば、端末を間違う人も出てくるだろう。受付の混乱は、しばらく続きそうだ。