「ジェイ ダブリュー アンダーソン」2025年春夏、ガーリーでタフなジョナサン妹がアイコンに
「ジェイ ダブリュー アンダーソン(JW ANDERSON)」はイギリス現地時間の9月15日に、2025年春夏コレクションを発表した。素材はシルク、レザー、カシミア、スパンコールの4つに絞った。限られた素材からさまざまな表情を引き出し生み出すのは、現代版のトムボーイだ。
ショーはコンパクトなシルエットのノースリーブミニワンピースでスタート。おなじみのトロンプルイユの手法で、シルクサテンの生地にニットカーディガンの柄をプリントしたり、それをスパンコールで表現したりした。ブルーのニットワンピースのトロンプルイユに続くのは、本物のニットワンピース。ユーモラスなテクスチャーの表現で観客の視覚を楽しませる。
ガーリーでインディペンデントなアティテュードを表現
レザーで作るチュチュや、ベルト状のファブリックを格子状に編み込んで形作るドレス、巨大な網目が飛び出すドレスなど、異なるテクニックで素材の汎用性を実験的に追求した。一方でシルエットは、コンパクトなミニワンピースを一貫する。そこに合わせるアクセサリーも、ショートブーツやワンハンドルバッグと、いたってシンプルだ。スタイルのインスピレーション源となったのは、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)=デザイナーの妹、クロエ・アンダーソンだという。「ガーリーだけど反骨精神やタフさもある彼女のスタイルがとても好き。ガーリーでインディペンデントなアティチュードにはいつも惹かれるんだ」とジョナサン。
今回素材を絞ったのには理由がある。ジョナサンは、「次の10年がどんな時代になるか誰も分からない。世界が変革期を迎えている今、視野を狭めて焦点を絞るクリエイションが大事だと思うから」と話す。
シルクサテンのスカートにプリントしたテキストは、アートの批評家クライ・ベル(Clive Bell)によるエッセイだ。「エッセイの内容よりも、白紙に何か新たなストーリーを紡ぎ出す行為そのもののエネルギーを表現したかった」のだという。ジョナサンは今季、不安定な時代における自身の現在地を身近な素材を用いて再確認しているようだ。そして彼の視線は次のスタートに向いている。白紙に新たなストーリーを書き出す時のような高揚感を持ちながら。