なぜ西武の辻監督は7回までノーノー続行の新外国人スミスの交代を決断したのか…本人が続投打診の舞台裏
西武の新外国人右腕、バーチ・スミス(32)が19日、ベルーナドームで行われたロッテ戦で来日初登板。7回を1四球のみの”ノーノー”に抑える快投を披露して4-0で快勝、スミスも白星を手にした。193cmの長身を誇るスミスは最速155kmのストレートと落差の大きいナックルカーブを軸に初回からロッテ打線を圧倒して来日初登板でノーヒートノーランの大記録に突き進んでいたが、辻発彦監督(63)は球威が落ちてきた7回に96球をもって交代を決断した。2試合連続の完全試合を継続していたロッテの佐々木朗希(20)を8回で降板させた井口資仁監督(47)の采配は賛否を含めて話題となったが、佐々木は納得していた。だが、スミスは大記録を達成するために続投を打診していたという。
「このまま続けられないか?」
快勝の余韻が色濃く残るヒーローインタビュー。愛斗に続いてお立ち台に立ったスミスが、ピッチャーならば誰でも抱く本音を明かした。 1番から始まった7回表のロッテの攻撃を、高部瑛斗(24)をショートゴロ、福田を空振り三振、中村奨吾(29)をサードライナーに仕留めて戻った三塁側の西武ベンチ。辻監督や豊田清投手コーチ(51)らと交わしたやり取りを尋ねられた直後だった。 「I asked him if I could keep pitching, but he told me I was done. So that’s OK――」 ここで言う“him”は辻監督を指す。7回を零封したピッチングをねぎらわれたスミスは、指揮官に「このまま続けられないかと尋ねた」と、続投を打診したのだ。 この時点でロッテ打線に許した安打は「0」のままで、4回一死から四球で唯一出塁させた福田もけん制で刺していた。球数も「96」だったなかでノーヒットノーランの大記録を達成するために続投の可能性を探ってみたが、すでに交代を決めていた首脳陣の考えは変わらなかった。 8回から平良と代わる理由を説明されて納得できたのか。辻監督や豊田コーチとグータッチを交わし、ベンチ奥のロッカールームへ姿を消したスミスは、来日初登板初先発を白星で飾り、チームの連敗を「2」で止めた心境をこう語っている。 「今日ようやく投げられて、チームの一員になれたことをすごく嬉しく思っているし、何よりもチームが勝てたことが一番嬉しい。投げる前は緊張と興奮とが入り交じり、一回落ち着かなきゃいけなかったなかで、一球一球丁寧に投げることを心がけた。ベルーナドームのマウンドも投げやすかったし、キャッチャーのツゲ(柘植世那)のリードも素晴らしかった。(自分との)相性もよく、すごく気持ちよく投げることができた」 身長193cm、体重102kgの威風堂々たるボディに搭載されたパワーをボールに乗り移らせながら、スミスは初回からロッテ打線を圧倒し続けた。