<リオ五輪>城氏が語る 「コロンビア戦は勝てた試合」
一言で言えば「もったいない」。勝てた試合だった。内容は○でも結果が引き分けでは×。日本は決めなければならないゴールが何本かあった。前半34分に左サイドから興梠がクロスを上げて、ファーサイドでフリーになっていた藤春がヘッドをあわせたが、枠をとらえることができなかった。時間帯や日本のペースから考えて、ここで先制点を決めていれば楽な展開に持ち込めていたと思う。2-2で迎えたアディショナルタイムで、南野のパスに反応した浅野もキーパーと1対1になりながら決めることができなかった。主導権を握るためのシュートと試合を決めるシュートの2本を外して“惜しい”では済まされない。 一方、コロンビアは対照的に数少ないチャンスをゴールに変えた。ワンチャンスを生かして2014年の南米最優秀選手のグティエレスが個人技で先制点を奪い、日本のオウンゴールのミスを誘って2点目を拾った。 「チャンスは作るけど勝てない」、「内容では圧倒していたのに勝てなかった」、これまでの日本代表の試合で、何度見てきたシーンだろうか。決定力の違いには、国際経験の少なさや、個の能力差、いろんな要因があるが、私は、心理的影響と、高いレベルでの修羅場の数の違いが生んだ歪みだと見ている。 浅野にしても、藤春にしても、最後の最後に慌てているのだ。自分の間合いでプレーができていない。2点を追うことになった後半14分に、大島―南野―浅野のコンビネーションで中央を突破して奪ったゴールシーンは、浅野の間合いで打てていたが、ああいう間合いが90分間で一度では寂しい。1対1となったところで襲い掛かってくる心理的なプレッシャーは理解できるが、余裕がなさすぎる。今後、浅野は、アーセナルでプレーするが、ああいう場面でのプレーが評価の対象になることを忘れてはならない。 厳しい意見から入ったが、この日の日本代表は、3日前のナイジェリア戦とは大きく生まれ変わり、落ち着きを取り戻していた。